第3章 霊象行動ルール

 アストラル界とは、霊象を体系的論理として説明しうる世界(観)。人間の構造の物理的制約により能力者ですら実感世界と統一できていない。識者には便宜上純粋理論と実践科学のすり合わせという表現を使われ、さらに噛み砕いて、あたかも別個の世界が存在するかのような説明がされる、としている。
 アストラル界から見れば、霊象は全く日常の現象となる。しかしアストラル界は通常実感される世界の法則が通用しない。“こちら側”と“あちら側”では時間の流れが同じかどうかさえ怪しく、そもそもアストラル界ではそのキャラクターがどんな形で存在しているかさえ分からない。
 しかし、稀に“こちら側”「物質界」と“あちら側”「アストラル界」での存在が部分的に重なる存在がいる。そういったキャラクターは重なる部分の度合いで異能者とか、怪異といわれる。
 その存在が起こす、物質界に強い影響を与えるアストラル界の現象の一部が「術」である。このため、術を行使する本人ですらなんとなく使っている場合がほとんど(中には体系付けられている術があるがそれは物質界からのアプローチに偏った知識に過ぎない、あるいは術の会得者に特殊な血筋などの前提条件がある)。

  • 用語の定義
  • 「異能」
     キャラクターが保有する、全ての超常現象的効果。才能、素質。

    「起動」
     呪文の詠唱や印を結ぶ、精神集中をするといった特殊な行動を用いる為の準備に入った状態。

    「発動」
     異能を用いるための全ての準備が整い、効果が現れる、または術者の任意のタイミングで用いることが出来る状態になる事。

    「霊象」
     狭義ではキャラクターが任意で用いる異能。広義では超常現象的効果の概念を指す。
     ※後者の意味で、しっくりくる用語が無いため単語が重複してややこしくしている。

  • MC
  •  霊象を操るのに重要な能力値。他のRPGで言うところの所謂マジックポイントのことであるが、イメージ的にはキャラクターの霊象を用いる為のキャパシティ。一般的なRPGと違う点は、“現在MC”と“最大MC”の両方が増減するところ。コンプレックス世界では、通常の物理法則を捻じ曲げて霊象を起こしている間中継続的に力を消耗するという意味合いでこのようなルールになっている。
     具体的には、術毎に維持コストが決まっており起動時にこの値だけMCの現在値が減る。こうして術の発動により減少したりしたMCの値が“現在MC”である。現在MCの増減をそれぞれ「(現在)MCを○点占有する」「(現在)MCを○点解放する」と言う。

     このルールにより同時に維持可能な術の数が制限されるが、現在MCは術の効果が切れる(現在MC開放される)ことで、直ちに回復する 。この点では通常のRPGより規制が緩やか。つまり、ある間隔で使える術の使用回数は制限されているが、時間を考えなくて良いのなら自分のペースで術を使えば何回でも術が使えるという事である。
     ここで、“自分のペースで”といったのが“最大MC”に関する説明。最大MC(一般的なRPGの感覚でいえば最大MP)は霊的な負荷、以下の項目のような状況で減少する。

    • 現在MCが最大MCの4分の1以上2分の1未満の場合、平常時なら10分毎、ラウンド進行時は1分毎に1点。
    • 現在MCが最大MCの2分の1以上の場合、平常時なら10分毎に「現在MC」÷「最大MC」×10−4(端数切捨て)。ラウンド進行時は1分毎。
    • 現在MCが最大MCを超えた場合、超えた瞬間と以後3秒毎に「差分の値」。
    • 一部の術を発動させる。

     「一発逆転を狙って限界以上の力を出す」とか「無理をしすぎて霊的なスタミナが切れてジリ貧」とかいった事を再現するルール。最大MCの増減をそれぞれ「(最大)MCを○点加算する」「(最大)MCを○点減算する」と言う。
     最大MCは特に記述が無い限り、キャラクターの能力値以上加算されることはない。最大MCは0が最低値で、最大MCが0になると特に記述が無い限り、あらゆる術の使用や維持およびMCを占有する特殊能力の使用や維持が出来なくなる。

     さて、次に減算したMCを回復させるにはどうするのかと言う問題がある。最大MCの回復手段は以下のとおり。

    • キャラクター特有の能力。

  • 術と行動ポイント
  •  具体的なデータは第4章だが、術は同じ効果でも例えば西洋魔術、神道、仏教、怪異の能力もしくはさらに細分化された流派で形式が異なる。異能技でカスタマイズされた場合を除き、これは術使用時に要する肉体的行動の差異に起因する。つまり、術を使うために呪文を詠唱したり、札など何らかの品物を使用したりといった事である。
     解釈としては、感覚的で制御が困難な術を、術者の感性や先天的素質に合った手法で操っているという事。つまり、原理としてはシンプルに用いられるのだが何らかの理由で回りくどいことをしているという事。但し、術には威力があるから、容易に術を使えるからといってその術をうまく使いこなしているとはいえない。余計な手段をする事で術を強力にしている場合もある。

     それはさておき、行動ポイントを用いて術を使用する場合、大抵「詠唱」や「動作」などの予備行動を要する。消費FAPは以下の項目を参照して加算していき決まる。
     実際に術を使うときは、行動の順番の修正を受けつつ個々の予備動作を解決してゆき、最終的に術展開を解決する。このとき、一連の予備動作の解決から術展開までに術使用者の能動的な行動(メジャーアクション、マイナーアクション、オプションコマンド)を行った場合(当然に回避行動も含まれる)再度予備動作をやり直さなければ術は発動しない。但し、術の射程が「接触」である場合は術展開の直前に接触に関した行動をしてもよい。
     別の見方をすれば、予備行動をラウンドの最後に回し次ラウンドの頭から残りの行動をすれば一部の行動で術を使用できる。

     術の流派の設定により術解除の追加行動が術展開と異なる場合がある。消費行動ポイントは、その追加行動のものに加えて術のMAPの半分(端数切り捨て)になる。
     蛇足ではあるが同一ラウンド内で術展開の後に行動をする場合、メジャーアクションによる−5の修正があることに注意(術解除は−3)。

    呪文の詠唱(消費FAP=0)
     消費FAP自体は無いが、発言に従い、1ラウンド3秒という規制と、FAPが1以上ないと阻害されてしまうという条件がある。
     発言量については、“○(0以上の整数が入る)小節”という用語を用いる。行動順の修正は「小節数」×5+1。1小節は約1秒。但し、4小節以上の場合はラウンドがまたぐため、次のラウンドになる毎に修正を15ずつ減らしてゆく。

    印を結ぶ(消費FAP=1or2)
     片手か両腕かは問わないが、手をふさいでいたらまず手をフリーにする行動が必要になる。行動順の修正は1。

    体全体を動かす動作(消費FAP=1〜4)
    行動順の修正は3。

    お札などを取り出し放つ(消費FAP=3)
     この消費は懐やホルダーなどから取り出す場合。鞄の中や拾ったりする場合はさらに追加行動が必要。行動順の修正は3。

    特殊な図形を地面に描く(消費FAP=3〜6)
     この消費はすでに図形を描く物を持っている場合。用意する場合はさらに追加行動が必要。行動順の修正は5。

     以上の予備行動は2つ以上の行動が組み合わされて1つの行動にもなる。その場合消費FAPと行動順の修正を加算して扱う。また、解決してゆく予備動作の順番も術ごとに定められている。
     これに加えて術にはそれぞれ難易度が定められており、それによって消費MAPが定まり、術展開の行動となる。難易度「易」で消費MAP=5、難易度「並」で消費MAP=8、難易度「難」で消費MAP=12、難易度「至難」はそれ以上となる。

  • 霊価
  •  術は物質界での効果とは別にアストラル界での側面がある。これは霊価と呼ばれ、物質界での効果を出すのにアストラル界でどれだけ強い力を発揮しているかを表している。
     ルール上、霊価は英字と数字で表され、英字→数字の順に優先してランクの優劣を決める。 より詳しい霊価の値については以下のとおり。

    • (アルファベット)−(数字)のように表される。
    • 値を比べる時はまず英字を見て優劣を決める。上位から順に
    • A・・・ 神の業。物質界でその片鱗が見えているだけで実際の効果は不明。人の身ではその本質を理解することは不可能。さらに高位のランクがある。
      B・・・ 秘儀。物質界の法則を超越し、事象を操る。
      C・・・ 高位の術。物質界の法則を無視し、現象を起こす。
      D・・・ 一般的な術。効果が大きく、このランクの術が使えて初めて異能者と呼ばれる。
      E・・・ 初歩の術。物質界に影響を受け効果が大きく左右する。
    • 英字が同じ場合は数字が大きいほうが優れている。最低0で上限はなし。

  • 術の種別と術への抵抗
  •  術には流派以外に術をかけた時の扱いによる分類がある。これには、「通常」「干渉」「抵抗」「無効」の4種類がある。
     「通常」は術の発動と同時に効果が出る。
     「干渉」は術の発動時に目標が術を受け入れるかどうか選択し、それにより術の効果が出るかどうか決まる。
     「抵抗」は術の発動後、その術の「抵抗レベル」と目標の抵抗値(術により肉体か精神か決まっている)を比較し、抵抗値を上回らないと効果が出ない。但し、両者(術者(術ではない)と目標)間の霊位に差がある場合、1ランク毎に数値を倍に扱う。このとき、術を抵抗する毎(このカウントは肉体、精神の区別はしない)に次の術の抵抗時に抵抗力に−2の修正がある。このペナルティは1ラウンドに1ずつ解消されていく。
     「無効」は術のアルファベット部分と目標の霊格を比較し、術の霊価の方が上回らないと効果がない。目標が術などで霊格が無い場合は霊価の比較になる。



TOP >> ルール集 目次 >> back << 第3章 >> next