◆口づけのその後◆

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「あ〜〜〜,疲れたっ!」
トランクスの部屋で,先程までゲームに集中していた悟天が,コントローラを放り投げると
両手を高々と挙げて背伸びをした。
「一体何時間やってたと思ってんだよ」
ベッドに寝転がり,悟天がゲームに熱中している間,ずっとその背中を眺めていたトランクスが,
ひじをついて上半身を起こしながら言った。
「ごめんごめん,退屈だった?」
バツが悪そうに悟天が言うと,トランクスはベッドから降り,悟天の隣に座った。
「まあ,いいけどさ。オレがいるってこと忘れんなよな」
小さくため息をつくと,トランクスは右手を伸ばし,人差し指で悟天の額を軽く押した。

「それよりさあ,これから街に出ようよ」
悟天のその言葉に,トランクスの表情がサッと変わる。
「またナンパしに行こうっていうのかよ」
「え〜〜? ダメぇ??」
「行くならお前一人で行けよ。オレはやだっていつも言ってんだろ」
何度も言わせるなよ,と言わんばかりにみるみるトランクスの表情が曇る。
「ダメなの?」
うつむき加減になり,上目づかいにトランクスのほうに視線を向ける悟天を見たトランクスの瞳が,
いたずらっぽく光った。

「なあ悟天,キスってしたことあるか?」
「えっ!? 何言い出すんだよいきなり」
「あるかって聞いてんだよ」
トランクスの瞳が,容赦なく悟天を追い詰める。
悟天は,トランクスの視線から目をそらすと,何をするでもなく
先程放り投げたコントローラに手を伸ばした。
「なあ,どうなんだよ」
しつこく食い下がるトランクスに,悟天はとうとうあきらめて,投げやりに言った。
「ないよ! 悪かったなぁ!!」
「なんだ,あれだけ女の子とデートしてるくせに,キスしたこともないんだ」
顔を真っ赤に染めてそっぽを向く悟天に,トランクスは腹を抱えて笑い出した。

「そ,そんなに笑うことないだろ!!」
ますます顔を赤くして怒鳴るが,トランクスの笑いは止まらない。
とうとう悟天はむくれてトランクスに背を向けてしまった。
「悪い悪い。だって意外だったからさ」
笑いすぎて目からこぼれた涙を手のひらで拭いながらトランクスは悟天をなだめた。
ひとしきり笑いが収まると,トランクスは悟天の正面に回りこむと,
うつむいている悟天の顔を覗き込みながら言った。
「なあ,キス,してみないか?」

あまりに意外で唐突なトランクスの言葉に,悟天は驚いて顔をあげ,トランクスと目を合わせた。
「し,してみないかって・・・・誰とだよ!?」
「決まってるじゃないか。・・・・お前と,オレだよ」
徐々に顔を近づけながら,囁くように言うトランクスに,悟天は戸惑いの表情を見せる。
「なん・・・・・・どっ・・・・だっ・・・・・トランクスくん・・・・じょ,冗談・・・・!?」
トランクスの肩をつかんでおしのけようとしたが,
とうとう額が触れそうなところまで近づいてしまった。
「いやか?」
「いやかって!! ・・・だって・・・・・・・・ボクたち・・・・・・・・・」
目を合わせながら,トランクスの手が悟天の柔らかい頬に触れる。
「いいだろ・・・?」
「ずっ・・・ずるいよトランクスく・・・・・・ッ!」

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