Tristar のおもちゃ箱

クモヤ440 製作記(3) ・ 塗装編

此方からは、クモヤ440 製作記のメニューへ戻ります。



    銀河モデル製 クモヤ440キットの塗装過程を、紹介しております。
   マッハ模型のブラスクリーン

 まず、塗装の前準備として、対象物の
洗浄を行います。
真鍮モデルにはこのブラスクリーンが
お勧め!
以前は、サンポールとワイヤーブラシの
組合せで磨いていましたが、その方法と
比べると、洗浄力も高く、安全(液性が
中性)で、経済的(繰り返し使える)です。

 右の容器が、小分けして幾度か使った
液なのですが、まだ洗浄力は十分です。

      洗浄前の車体

 洗浄前の車体は、組立た際の手油や
汗で、薄っすらと錆びが浮いています。

     車体の洗浄(1)

 空いたプラケースに洗浄物を入れ、
ブラスクリーンを注ぎます。

 今回は写真を撮る為に、室内で行い
ましたが、普段は屋外で行いましょう。

     車体の洗浄(2)

 平筆で優しく撫でるだけで、汚れや
錆びを落すせます。
画像では、筆より左側が洗浄が済んだ
部分です。
輝きの違いが、お解り頂けるでしょうか。

     車体の洗浄(3)

 ブラスクリーンで洗浄した後の車体は、
流水で残った液を洗い流し、水分を良く
乾燥させておきます。

 また、使用後のブラスクリーンは、まだ
使えるので、捨てずに回収して、次回の
洗浄に備えます。

      洗浄後の車体

 ブラスクリーンの中に浸したただけで、
この様に、汚れや錆びをきれいに落す
事が出来ます。
しかし、このまま時間が経ちますと、
空気中の水分により、また錆びますので
洗浄・乾燥後は、速やかにプライマ−を
吹きましょう。

      小パーツの保持

 金属や軟ポリで出来ている小パーツも
プライマ−処理と塗装に備えて、冶具に
固定しておきます。
この様な小パーツの保持には、割箸が
便利ですネ。
作例は、割箸に穴を開け、両面テープも
併用して保持しています。

     使用するプライマー

 定番ですが、プライマ−には、マッハ
模型製の"メタル用シールプライマ−"を
用いています。
専門誌にも書かれている通り、金属への
喰付きは最強ではないでしょうか。
また、台車やパンタの軟ポリに対しても
十分な実用強度だと思います。

 但し、Tristarが作る車体には、毎回
部分的にプラ素材を用いているので、
専用のラッカー系薄め液が使えません。
作業の直前に、吹付けに必要な分量を
小分けして、プラ用の薄め液を用いて
希釈し、吹き付けております。

 この辺りの方法は、ネコ・P社から
発売されている、"Nテクマニュアル"
通りですネ。   (^o^)

    エアーブラシのご紹介

 マッハのプライマ−や、自己調色した
塗料を吹き付けるため、エアーブラシは
必要不可欠な道具ですネ。
Tristarは貧乏なので(笑)友人から中古
購入した、タミヤの"スプレーワーク"を
使用しています。
この製品は、細吹きも十分利きますので
車体の塗装は勿論、ウエザーリングまで
便利に活用しております。

 但し廉価版の為か、部品構成が複雑な
ピース部だけは頂けませんネェ。
ウガイだけでは十分な洗浄が行えず、
色替え毎に分解掃除をしなければ
なりません。
これって、ウチのだけの特性だろうか?
内部のOリングも、ヘタって来たし、
そろそろシングルアクションの上級な
ピースコンが欲しいよぅ。 (^_^;)

     プライマーの吹付け

 プラ用薄め液で希釈したプライマーは
十分撹拌し、沈殿物がない事を確認して
素早く吹付けます。

    プライマーの吹付け後

 プライマーを吹付けた後の車体です。
シールプライマーは薄黄色に着色されて
いるので、吹付け時にも"ノリ"を確認
しながら作業が行えます。

 このプライマーは吹付け後に、時間が
経つと、塗料の喰い付きが弱くなるので、
乾燥後はなるべく早目に1色目を吹いて
おきましょう。

    車体の塗装に使う色

 今回、車体の塗装に使う主な色を
並べてみました。
Tristarは、その取り扱いの良さから
タミヤの水性アクリル塗料を用いて
います。
自家調色が必要ですが、それもまた、
楽しみだったりして・・・。  (=^_^=)

 なお、この赤13号の調色過程は、
こちらにて紹介しておりますので、
併せてご覧頂くと幸いです。

     赤13号の吹付け

 クモヤ440の塗装は、赤13号と
クリーム4号の、交直標準色です。

 普通の塗分けならば、発色の良さから
クリーム→赤の順番ですが、今回は既に
前面貫通扉の踏板を取付けていたので、
マスキングの都合から、赤13号を先に
吹きました。

     赤13号吹付け後

 赤13号吹付け後の車体です。
1色目は、プライマーの塗膜を全て覆う
様に全体に吹きます。

 ここまで来れば、小休止。
洗浄からこの1色目吹きまでは、確実に
手早く行いたいところですネ。

   下廻りの塗装と塗分け

 同様に、下廻りもプライマーを吹き、
艶消し黒を吹付けます。
但しTNカプラーは、可動部に塗料が
入ると、その動きを阻害して脱線の原因
となるので、別に手塗りしました。

 塗装後に、主抵抗器とスピードメーター
ケーブルをねずみ色1号で色差しし、
アクセントを付けます。

    パンタグラフの色差し

 パンタも同様に塗装し、色差します。
詳細は、碍子の絶縁シリコングリスが
白緑色で、集電シューは中央が銅色・
両端が銀です。
また、ホーン部には赤を入れ、
アクセントとしました。

     下廻りのウエザーリング

 フラットアースと艶消し白を用いて、
下廻りのウエザーリングを行いました。
Tristarのウエザーリングは、控えめな
位が丁度良い様です。

 また、汚しの状態が自然つながる様、
TNカプラーも付けて吹いていますが、
可動部には塗料が吹き込まないように
心掛けて作業しました。

   ウエザーリング後の下廻り

 ウエザーリングまで済んだ、床板と
台車の状態です。
この後、元通りに組み立てて試運転を
行い、下廻り完成となりました。

 また、完成後に目立つ動力ユニットの
ダイカストブロックは、艶消しの黒で
外側を塗装しておきました。

    マスキングテープの切出し

 マスキングテープには、タミヤ製の物を
使用しております。
以前は一般塗装用のマスキングテープを
使用していましたが、埃の付着と糊の
劣化に泣かされておりました。
しかし、この商品に切り替えてからは
問題の解決が出来ました。

 綺麗な塗分けラインを保つ為、テープは
切出して使用します。
その際に使用するカッティングマットは、
専用のモノを用意した方が、埃の付着も
防げ、きれいに切出せると思います。

 また、塗分けの境界部に貼るテープは、
細い方が歪みの調整をし易い様です。

      マスキング(1)

 切出したテープを用い、塗分けの
境界部からマスキングして行きます。

      マスキング(2)

 ドア廻りなど凹凸が有る部分では、
テープが密着し難いので、隙間が出来、
2色目を吹いた際、滲みを生じる事が
有ります。
これを防ぐ為、貼ったテープにナイフで
切込を入れ、更に上からテープの小片を
貼付けて、滲み防止をしておきます。

      マスキング(3)

 境界部が貼り終わったら、マスキング
する側全体を、覆ってしまいます。
これは、窓等の開口部から2色目以降の
塗料が回り込む事を防ぐ為です。

 テープを節約する為に、中央部分には
幾重にか重ねた紙も併用しています。

      吹付けの直後

 2色目の吹付けを終えた直後です。
今回は、そのままクリーム4号を吹き
ましたが、より確実に滲みを防ぐ為、
2色目を吹く前に、下地色やクリアを
軽く吹いておくと言う裏技も有ります。

    マスキング剥がし(1)

 毎回ドキドキな、マスキング剥がしの
瞬間です。
2色目の塗膜は、まだ生乾きなので、
キズをつけぬ様、慎重に・・・。

    マスキング剥がし(2)

 塗分け面が現れてきました。
今回は滲みや吹き洩らしも無く、一応
成功のようです。

     塗分け部のアップ

 マスキングテープを剥がし終わった
直後の状態です。
塗分部に、テープの厚みによるカエリが
出ていますが、これは塗膜が乾燥するに
従い、消滅します。

 無事に塗分けられ、ここまでの苦労が
報われる瞬間でもあります。

     Hゴムへの色差し

 塗膜を良く乾燥させた後、同じ手順で
屋根も塗分けました。
そして、車体の各部に色差しを行います。
画像は、Hゴムを塗っているところで、
面相筆を使っての作業は、のんびりと
焦らず行いましょう。

   おっと、穴開け忘れ発覚!

 運転台窓にワイパーを取り付ける為の
穴を開けることを、すっかり忘れたまま
塗装していました。
仕方が無いので、塗膜が剥がれぬ様に
注意しながら、この状態から穴を開け
ましたが・・・。

 結果オーライだから良いものの、
全くもう!何やってんだか・・・。(苦笑)

      インレタ貼り

 インレタは、車体を歪ませぬ様に、
下廻りを仮組した状態で、バニーシャを
用いて転写します。
インレタを貼ると、模型の細密感が
一段と高まります。

 最近では、形式名だけで無く、驚くほど
細かな標記まで、各社から発売される様
になり、喜ばしい限りです。
但し、メーカーによって転写のし易さや、
レタリングの強度が異なりますので、若干
注意が必要かも知れませんネ。

     転写後の前位側

 クモヤ440では、パンタの載る方が
前位となります。
画像はその左側面の様子で、此方には
Aの位置称呼とATS標記、所属標記が
付きます。

 参考までに、勝田から九州へ転配後の
所属は、1番が分オイ、2番が鹿カコで、
現存するのは2番のみです。

  くろま屋さんの色替えインレタ

 後位側前面の検査表記は、赤13号で
書かれています。
適当な代替品が見当たらなかったので、
くろま屋さんに類似パターン品(クモル
145用)の色替えを依頼して、作って
頂きました。
0.3mm程度の小さな文字まで読み取れる
品質の素晴らしさと、転写し易さには、
いつもながら脱帽です。

 また、打開策が見当たらずに困って
居たところ、ネッ友のshimakenさんが
自作デカールの製作を申し出て下さり、
発注済みだった為、実現こそしません
でしたが、大変有り難かったです。
趣味を続ける上でも、友達って本当に
大切ですね。   m(^_^)m

    クリアデカールへ転写

 今回は、凹凸の多い所へ貼らなければ
ならないので、一旦、クリアデカールに
転写して使用しました。
なお、実際に貼付け使うのは1組だけで、
2つ有るのは、スペアとしている為です。

     デカールの切出し

 デカールは、標記以外の不要な部分を
切り離し、出来るだけ小さくしてから
貼り付けます。

 こうして見ると、その文字の小ささを、
改めて感じますね。

     貼り付け前の確認

 水に濡らす前、切出したデカールを
台紙ごと貼付け位置に乗せ、収まるか
確認しておきます。

     クリアによる表面保護

 色差しと、レタリングが終わったら、
表面保護の為クリアを吹きます。
但し、屋根は艶消仕上げとしたいので、
マスキングしておきました。

     クリア吹き後の後位側前面

 クリア吹きが済んだ、後位側前面の
標記廻りです。
クリアを吹けば、レタリングや塗膜の
保護が出来るばかりでなく、デカールの
厚さも目立たなくなります。
また、経年変化によるデカールの変色も
防げる様です。

     窓ガラスの切り出し

 キット組立ての最初に述べた通り、
窓セルの切出しは、内張りの開口部を
写しておいた型紙に従い行います。

 また、使用する素材は、薄手の塩ビ板
(GMのキットに付属している素材)が、
後述の接着剤との相性も含めて、最適と
思います。

     窓貼りに使う接着剤

 窓貼りに使う接着剤は、合成ゴム系を
用います。
それも、従来から有る黄色のモノより、
画像手前の透明なタイプの商品の方が、
はみ出しも目立たず良いと思います。

 但し、窓セルにタミヤ製の透明プラ板
(スチロール材)を使う際は、この接着剤が
付着した部分は、表面が侵されますので
貼る際には、注意が必要です。

      接着剤の塗布

 合成ゴム系接着剤の粘りを利用して、
窓セルに爪楊枝などを用いて、接着剤を
塗布します。

      窓セル貼り

 この接着剤は、完全に硬化するまで
接着力が有り、ある程度時間も掛かり
ますので、焦らず落ち着いて、所定の
位置に貼り付けます。
それでも接着剤の粘度の為に、はみ出す
事も有ると思いますが、・・・大丈夫です。

     はみ出した接着剤

 あぁっ! ヤッパリ!!
気を付けて作業していても、接着剤が
盛大に、はみ出して仕舞いました。

   はみ出した接着剤の処理

 でも大丈夫です。
硬化前ならば、合成ゴム系接着剤は、
爪楊枝等を使って、クルクルと巻取る
事が出来ます。

       窓貼り完了

 接着剤のはみ出しも無事削除出来て、
ようやく1枚、窓が貼れました。

 はみ出さないのが一番なのですがネ。

   運転台窓のデフロスター

 運転台の前面窓には、デフロスターが
付きます。
以前でしたら、カッターナイフで筋彫し、
塗料を流して、形の良い物だけを選んで
使っていましたが、今ではこの様なモノ
までインレタが有り、重宝しております。
便利な時代ですネ。  (^_^)

 天地方向の長さが足りなかったので、
作例では、余った部分より追加・延長を
しております。

     またもや問題発生!

 前面ガラスが、ワイパー取付け穴と
干渉していたので、貼り付け後に穴開を
行った処、指で押えたため、インレタの
デフが歪んでしまいました。

 結局、窓貼付け/穴開け後に、デフを
転写したクリアデカールを貼って対処
しました。
最初から、こうするべきでしたネ。

      方向幕の作成

 パソコンで、フリーのCADソフトにより、
方向幕に入れる文字を作成しました。
完全に自己満足の世界ですネ。 (=^_^;)

     ワイパーの作成

 ワイパーには、タヴァサのパーツを
用いました。
切出して、真鍮線加工と同じ要領で、
曲げて行きます。

    曲げ終わったワイパー

 曲げ終わったワイパーです。
ダブルアーム部を歪ませずに曲げる事が
一番のポイントでしょうか。

   ワイパーの取り付け

 塗装を傷付けないように、慎重に・・・。

   ワイパーの取り付け後

 ワイパーの取り付け後の後位側です。
ワイパーの固定には、塗膜や窓ガラスを
汚さぬ様、木工用ボンドを用いています。

   高圧配線の曲げ作業

 高圧配線はキットに付属の真鍮線を
用いて作成しました。
組立て説明書の中に、1/1の3面図が
有りますので、それに合せて大まかに
曲げ、最終的には、現物合せの調整を
行います。

    車体への取付け

 碍子は塗装後に、車体の裏側から
瞬間接着剤を用いて固定しました。
また、先に曲げておいた高圧配線は、
碍子頭部の溝にはめ込み、同様に
瞬間接着剤にて固定します。

     配線への色差し

 固着後に、色差しを行います。
今回の高圧配線には、燐青銅線を
用いていないので、引込線をコッパ−で、
空気配管を艶消黒で塗っておきます。

    ライトレンズの接着

 最後にライトレンズを木工用ボンドで
固定して、上廻りも完成です。

   完成した上・下廻り

 ようやくここまで辿り着きました。
  (タグ打ちの方もですネ。 (^v^))
それぞれ出来上がった、上下廻りです。
後はパチンとはめ込んで、完成!

 なお、この模型の完成画像は、
こちらにて公開中です。
合せてご覧頂けると、幸いで〜す。
       m(^_^)m 




― 2ヶ月掛かりで、ようやく完成です。 (^o^) ―
・・・でも、無事にまとまって、ホントによかったです。 ホッ・・・


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