光野浩一、某日の記憶のかけら。月一回、一日分のみ掲載。
間も無く逝くと判っていたその人に、何も言えないままだった
「お元気ですか?」「はやく良くなってください」「ご自愛ください」
どれをとっても軽薄な言葉
ささくれは喉深くに刺さったまま
熱を失ったその人の肉体/生き生きと輝くスナップの影
どちらがリアルと言えるのだろう
寿ぎのクリップアートを絶え間なく滲ませる遺品のワープロ
闇深い極寒の駅、コートの襟越しにひとり見た灯りに似る