Past days 2007

2007年某日の記憶の欠片

2007

Jan.2nd.2007

家族と過ごした穏やかな正月。

バス待ちの時間をデパート屋上のカフェで過ごす。


繋がっている、違う景色の同じ空。そのふたつの間を行き来する。

失ったり、取り戻したりを繰り返して生きている。

 

 

Feb.18th.2007

朝の霧島・アートの森。


見えないのではなく、常に何かは見えている。

見ようとしている自分がいる。

その自覚。


ましてや春が近いなら。

 

 

Mar.14th.2007

 

白い兎と踊る夢について。

 

 

Apr.1st.2007

MAP&通り会・2007年春の花見。
この雨中の決行に耳を疑うも、そこは流石のご一同。
美味しい肉のコースに重なる杯、尽きない会話。

誰もが何かを抱えて歩き出す、春。


え?花がどうしたって?

 

 

May.5th.2007

息詰まる日常の雑務から、お決まりの逃避行。それはこの時期、世間の誰もが思うこと。

「数年前の今日、何処へ逃げたっけ?」


そんな定点観測の場を、大宰府にするのも悪くない。


この日の出会いとはじまり。そのこれからを夢想する。

 

 

June.17th.2007

久々の熊本市現代美術館。

学生時代から図版は散々見てきたものの、現物と出会ったのはつい最近だ。


「あなたは、この展覧会のなかで、モリムラさんを何人見つけましたか?」
かなりの難問。「いない」「ひとり」「大勢」のどれもが正しい。

我々は何を観て、何を創って来たのだろう。



初夏。喉を潤す、とても久し振りのラッシー。

 

 

July.22nd.2007

桜島。

 

企画・運営のねらいと行動力には頭が下がる。間違いなく魅力的で有意義な試みだ。地元作家の作品も良い。
だが、真意の汲めていない県外参加者が多過ぎる。

 

 

他人の善意や援助の上でしか成立しない暮らし・その中での制作を「作家の日常」と自称する無神経さ。

 

この地に来ていながら、この地のことを知ろうともしない怠惰。

 

 

「足りないもの」?

 

あなたたちが居るのが他ならぬこの桜島だという認識だよ。

 

 

 

(後日注釈)

どうやらスタッフの方の中に、この内容を良く思われない方がいらっしゃるようなので。

私はこのプロジェクト自体と地元関係者の努力に深い感銘を受けこそすれ、批判する気など毛頭ないことを申し上げておきます。
ただ、県外出品者の作品の中に、また発言の中に、ほとんど「桜島」についての発見や解釈が見受けられなかったことに落胆したことは事実です。
(海や火山や自然なんか他にだってある! ここで何を見、何を地域に還すんだ!? なんだこの中学生並のラクガキは!?)
それは、スタッフの努力が親身なだけに余計浅薄な作家ゴッコに見え、周囲の協力を台無しにしているようにも思えたのです。
スタッフとしては招待した出品者を擁護しないわけにはいかない、そのことにも悲しみを覚えました。

 当時は、です。

私とて、過去のプロジェクトでスタッフのお世話になりっ放しであったことを心苦しく思っておりますし、招待出品者の苦労や地元と結びつくための努力も後日知りました。
2007年夏の時点で、私にとっても特別な場所である桜島で見たものについての素直な感想。このdiaryはそれ以上の意味を持ちません。
私自身の思い入れの成せる業と御容赦下さい。

 

 

Aug.15th.2007

福岡大名。

今日という日の歴史の重さは判っているが、多くの展示を快適に観られた幸運に乾杯。

福岡市美・大竹伸朗のエネルギー/Art Tours Projectの強さと爽やかな風通しに。
アジア美術館・絵本ミュージアムでの小さな友人達との再会に。
北九美の自由な空間に。分館・トリックアート展での嬉しい裏切りに。

そして過ぎ行く夏に。


雲の形を追うひとときが何時まであるだろう?と考え出してかなり経つ。

まだ生きている。

 

 

Sep.23rd.2007

(熊本・某カフェにて)

市現代美術館の『ATTITUDE 2007』を観る。
「芸術は究極の人間肯定」…確かにそうなのだろう。

強く高らかな賛歌も、社会の不安を抉り出す表現も、硬貨の表裏のようなもの。
人間を、この世界を諦めない、その確認のために上げ続けるコイントス。


「光野さんの性分は賜物」


その言葉を少し肯定しても良いと思えた日。
それが裏目ばかりであろうと、自分も放り続ける一人なのだろう。

 

 

Oct.6th.2007

福岡・貘。

いかにも博多っ子、といった軽妙な語り口の老紳士が突如、声を詰まらす。

病床にあった友人が昨日、亡くなったという。

人はどうせ死ぬ。必ず死ぬ。
だが、それでもなぜ人は思い遣りを捨てはしないのか。
それが寂しい。そして嬉しいのだと。

眼の前に置かれたグラスに泡が立つ。


この場所に起こる出会いの奇跡。それが私に生きろと言う。

 

 

Nov.17th.2007

宮崎・WINDFARM個展。
昔教えた子達が再び、アートの名の下に集まりつつある。
頼もしさ、喜び、いくばくかの戸惑い。


風倉さんの訃報。

福岡で数回個展を拝見し、お話をした。
ピアノの大胆さから電子部品の繊細さまで、自由闊達な表現。穏やかな口調がまだ耳に残る。


今年の個展は明日で終わり。そしてまた、来年への準備が始まる。

自分もまた、齢を重ねている。

 

 

Dec.24th.2007

福岡天神。

年末の喧騒は嫌いではない。

何かをしようという熱気、期待と喜びが結ぶかたち。

その空気と熱いコーヒーを味わいに、当て無く彷徨う。


そんな一日があってもいい。