Past days 2000

2000年某日の記憶の欠片

2000

Jan.24th.2000

Oが逝った。


これだけのものを目の当たりにしても、実感が湧かない。
思いがけない同窓会をどこかで喜びさえしている。
けれども、超えられない事実。


彼はもういない。


金沢駅のつめたいタイル。

ひとりになって少し泣く。

 

 

Feb.12th.2000

明日からアートストリート。
朝も日が高くなってからごそごそと、
ブルーリボンでコレクションの飾り付け。

「高所恐怖症の光野さんには、iMacカラーの飛行機はいかが?」

粋な遊びの仕掛け人達としばし談笑。
なるほど、頭柔らかいや。

でもこのところ、人の話を聞かないひとの相手ばかり続いてたのは どういうことだろう。
こうはいかない。

ところで、飛行機だったら僕は好きだよ。

 

 

Mar.12th.2000

久々の福岡。
市美で村上さんの展示を楽しむ。百花繚乱。
同時開催のゴッホ展は人、また人。
敬遠していたのは、最後期の印象からか。
意外に緻密な表現に驚く。

 

 

アジ美ではタン=ダ・ウのパフォーマンス。
交錯するイメージと時間。

 

 

こんな気分の夜も珍しい。
スプモーニは合わなかったけれど、
オールド・ハイボールは気に入った。

 

 

Apr.9th.2000

変わらないなんて有り得ない。

 

ぼくらが大人の分別を得たとするなら、
それは共有し得なかった沈黙の部分にある。
その多くは悲しみの時間が醸したことも、想像に難くない。

 

けれどもぼくらはお互いの中にある自分のかけらを拾い集めて、
やっぱりそう言うのだ。

 

 

『日本一怪しい公園』のもっともな怪しさに大受け。
こんな笑い方をしたのは確かに久し振りだな。

 

 

May.28th.2000

痛む頭を抱えてチャイムに応えると、
石材店から新作の試作が届いていた。

 

「これがまるごと入ってる感じだな。」

 

薬を齧りながら修正の指定を入れ、再送。

 

クーラーは螺子を吐き出して沈黙したまま。

 

企画の誘いに返事を書く。
佐藤さんのFax.Noが判らない。

 

散々な今日だけれど、祝福してます。
二世誕生おめでとう。

 

 

June.24th.2000

鹿児島市立美術館カフェからの眺め。

 

 

なにかないかな、と来てみたものの、何もない。
動かなくなった腕時計の代わりも見つからないまま。

 

ただひどい雨。
手紙もメールも溜めてる。

 

早々に引き上げ。

 

結局、Blue ribbonでシンプルなrenomaを買う。

 

小さな憂鬱の果てのちょっとした安堵。

 

 

July.31st.2000

もういいかも。


毎年この時期そう思う。
そしてなぜかその最中、背中を押す誰かが現れる。


生きていこう。

 

人と関わっていこう。

 

 

Aug.23rd.2000

Eugene T Gendlin『フォーカシング』
Ann Weiser Cornell『やさしいフォーカシング』を読む。

 

 

見つけた!

 

 

僕が作品を創ってきたのは
feltsenseの為だったのか!
交流分析で超えられずにいる問題も
これで解決できるかも知れない。

 

 

できるだろうか、と思いつつも
session用にブルーのノートを買う。

 

 

夕食を取った店で、アートストリートの
嬉しい影響を聞く。

 

大切な発見の日。

 

 

Sep.24th.2000

午前中遅くのカフェ。

オリンピック中継が告げるのは
また4年が過ぎたという事実だけだ。
感心されるほどに興味を持てずにいる。


伝わらなさ。擦れ違い。
他人を傷つけるのに無自覚であること。
身の不遇を嘆くことができるほど
ピュアなはずはないだろう。


人の中で生きるとは
その只中にいることなのか。

 

 

Oct.14th.2000

このところ、PCのレストアばかりに時間を費やしている。
これほど不完全だと判り切っていて投資されるものも無かろう。
それは時代のテクノロジーを育む愛なのか?
未完成が口惜しい高価なパズル遊びなのか?
何れにせよ、これで片付けるべきことは山積みのままだ。


気晴らしのドライブ。
地下駐車場はその中身にも似て
目眩を誘う。

 

 

Nov.20th.2000

11月の個展終了。

忙殺。擦れ違い。愛車の不調と身の危険。
アートと経済。厳しい現実。
コーヒー、コーヒー、そしてコーヒー。ハイボール。
カクテルと炒り銀杏。そしてやはりコーヒー。
小林健二という世界。家族について。老い。
レンタルオフィス。見逃した仙厓。

ホテルの窓から。

 

 

Dec.11th.2000

確かに暖冬だけれど、今頃!


空も見ずに過ごしていた。