Exhibition /1997 MIYAKONOJO

1997年 都城市立美術館企画

NURSERY CRYME

1997年は宮崎県・都城市立美術館の企画展『MESSAGE\'97 <南九州の現代作家たち>』 に出品しました。

開館以来の15年間、南九州の美術にスポットを当て続けた同館初の現代美術の自主企画展で、 南九州在住・出身作家10人の作品による構成です。

MESSAGE‘97
「南九州の現代作家たち」
1997.2.21~3.16 都城市立美術館

内倉 ひとみ/久保 俊郎

通畠 義信/萩原 貞行

藤 浩志/文田 牧人

保田井 智之/又木 啓子

光野 浩一/吉川 陽一郎

 

INSTALLATION 『NURSERY CRYME』

 

暗い展示室に入ると、文字を書いたパネルが照明に照らされているのが見える。 一見黒く見えるが、アクリルミラー製であり、文字を読もうとすると自分の姿が映る。

室内ほぼいっぱいに黒い直方体がすえてある。上部からもれる光で、 内側に空間があることがわかるが、入口は見えない。(実際には室内はかなり暗い。)

直方体の壁面に重圧感を覚えながら周りに残された狭い通路を進むと、裏側に入口が見える。 暗闇から一転、中に見えるのは明るい白い部屋である。 中央にある白いベッドの上には黒い箱が乗せられ、裸電球に照らされている。

箱の上面。サイズの比率は実際の棺と同じで、アクリル製(スモーク)。 上面には英文が鏡文字で書かれている。

箱の上面アップ。 「WATCH THE WORLD OVER YOUR NOSE」の文が鏡文字で書かれている。

反射と映り込みですぐには見えないが、中に乳児の石膏像が確認できる。

 

題名はイギリスのプログレッシブ・ロックバンド(だった)ジェネシスのアルバムタイトルから 取ったもので、『子守り歌』と『叫び』からの造語。 生成と消滅、安心と不安、静謐な雰囲気と騒がしい暗喩など、アンビバレントな価値の意識から 引用しました。

 

この作品は、現在の私の精神のモデルであると同時に、注視を免れない心の殻をも意味します。 観客はその心の中に入っていくのであり、それぞれの人生経験を投影することで共感や嫌悪、 時には新しい方向を見出し、その世界を活性化させてゆきます。

それは、自らの心でありながら理解の及ばない領域を含む、現実世界の凝縮形です。