1997年、恒例の個展を福岡市・アートスペース貘にて開催。出品作は、インスタレーション 『VIRTUAL REALITY』 1点。都城市立美術館『MESSAGE‘97』出品の『NURSERY CRYME』の流れを汲むものですが、 抑鬱状態にあった空白の1年間に再び対峙し、心の危うさを問うことを試みました。
また、同作は1997年秋の東京・板橋区立美術館の企画展 『私(watakushi)美術のすすめ~なぜWATAKUSHIは描かれたか~』にも出品しました。 同館の収蔵品に若手作家の作品を加えた構成で、解体する現在の『私』が、 再び『私』性を美術の中で取り戻せるのか、 『私』性が現代の美術の中で問われている理由は何かについて探る企画です。 |
光野浩一展 |
私(watakushi)美術のすすめ |
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荒川 修作/今井 祝雄/木下 佳通代/綿引 展子 |
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(現在、都城市立美術館が収蔵) |
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室内の床面いっぱいに黒いフロッピーディスクが敷き詰めてある。観客はこの上を踏みながら 鑑賞する。(実際にはかなりの音がする。) |
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室内中央には台が据えられ、上にはスモークアクリル製の箱が置かれている。 (サイズ比率は実際の棺に準じる。)
真上からは裸電球で照明が成される。 |
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箱の上面には『I (一行、白で塗り潰し。) THEREFORE I AM』の文が鏡文字で書かれている。 周囲の映り込みですぐには判別できないが、中には二十数冊の本が並べられている。 大半は精神医学に関するもの。
(実は私自身が抑鬱状態にあった‘95年秋からの一年間に読んだもの。) |
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板橋区立美術館『私美術のすすめ』では併せて‘99年終了の日記に毎日『ALIVE』の印を捺す オブジェ『MEMENTO MORI』も展示。毎日FAXで生存を確認し、学芸員が捺印を代行する。 FAX用紙もドキュメントとして展示。 |
『VIRTUAL REALITY』…題名は『仮想現実』を意味する 余りにもありふれた言葉ですが、その成立まで立ち返って考えてみたとき、現実性をめぐる アンビバレントな価値を持っていることに気付いて題名とすることに決めました。
現実世界の存在、生きること、その意味や救いを求めることの不確かさや意味性・無 意味性について考えることのできる場をつくることが目的です。 そしてこの心理状態の中で、‘95年の私は固まっていたのです。 一応危機を脱した今ですが、それは問題の解決を意味するわけでもありません。 これは果たして個人的な問題でしょうか? |