光野浩一、某日の記憶のかけら。


Aug.1st.2020

 

 

 

父の葬儀。高齢で闘病も長かったので、気をもみながらも覚悟はしていた。
 

福岡市の印刷会社のカメラマンだった父。少年時代の私は留守の書斎をこっそり漁ったものだ。

その中に忘れられない写真があり、それがマリーナ&ウライ・アブラモビッチの『REST ENERGY』であると知ったのは随分後になってから。

ウォーホルを初めて見たのもこの時だから、自分は10歳ほどで現代美術に触れていたのか。

 

ひととおりの蔵書はあったものの、父は根っからの商業カメラマン。コラージュやパロディの見解を巡って大ゲンカをしたこともある。

人から聞かれた際、影響は無いと否定する一方で自分も父の仕事をどこか誇らしく思っていた。

 昨今の状況では致し方無いが、人気の無い斎場は気の毒だ。