瀬際を釣る楽しさ

 瀬際を釣る楽しさは、なんと言ってもクロが喰ってくる瞬間が見えるのと、ダイレクトに伝わる豪快な竿引きのアタリにあるだろう。
 私が最初に瀬際釣りを覚えたのは、宮崎県南にある鳥島のジローという瀬に上がって、クロ釣りをしたときだった。
 この鳥島は東向きにクロ釣りの好ポイントが点在していて、時期になるとクロ釣りの釣り客で大いに賑わうA級ポイントだ。
 その中でも、私はこのジローというポイントに足繁く通っていた頃で、足下に群れるクロの姿を幾度となく目にしては「これを何とかして釣りたい物だ」と、いつも考えていた。

 この頃の私の仕掛けは、今と違って中通しウキを使用していて2Bの浮力のウキをメインとしていた。
 道糸は4号で、今使用している号数の倍の太さだった。
 ポイントを設定するに当たっては、磯から1m以内としていたので、瞬間のクロの強い引きに耐えられるように、この頃は4号としていた。
 また、瀬から1m以内のポイント設定は、瀬際のエグレにかまれているクロは、チョット沖目に撒き餌をして誘い出そうとしても、撒き餌を拾うと直ぐに元のエグレの中に隠れてしまう事が多いからである。
 時には、1匹釣れたら「捕るか切られるか」の覚悟の上で、ウキを瀬にピタリと着けるようにしてハリスそのものをエグレの中に入れ込んだ事もあった。1匹釣れたらハリスを取り替え、また釣れたら直ぐに取り返して、道糸もポロポロになる事が多かった。
今思っても、随分無茶な釣りをしていた物だと思う。

 この頃は2Bのウキを使っていたので、ウキ自体は海面上にあって、様々な変化を見せながら海中に没していくウキの様子を楽しんでいた。
 しかし、今はこれに道糸の変化と、ダイレクトのアタリを体感ショックという形で味わっている。

 最近、私が瀬際釣りをするに当たって気を付けている事が3つある。
 まず一つ目は、なるべく海面に姿を近づけない。
 近づけないと言っても、海中のクロの様子を観察する事も大切な釣りのようその一つであって、一度も覗かないと言う意味ではない。
 仕掛けを振り込み、撒き餌をした後、撒き餌の流れや仕掛けとの同調を確認した後、1,2歩程度下がって竿先と、道糸の動きでアタリを確認する。
 下がり方も真っ直ぐに下がるのも一つの方法だが、私の場合、斜めに下がって、しゃがみ込むと言う風にして視覚の中になるべく長くウキがあるように心がけている。
 
 2つ目は、タナの取り方を工夫するようにしている。
 仕掛けを作って、一ヒロのタナがどれくらい見えるか確認してみると分かると思うが、海中に反射する光の屈折の具合も加味しているのか、以外と深く感じる事がある。
 このような事を考えて、自分が思っているよりも少し(半ピロ程度)上層にタナ取りするようにしている。
 これには、自分なりに理由があって、クロに限らず魚は食い気があるときは大体において縦に反転するように泳ぎ、餌を拾う事が多いと言う考えが元になっている。
 一度だけ、刺し餌の周りをグルグル回って、いきなり食いついてきたオナガグロを見た事があるが、この時のタナはなんと半ピロという浅いタナだった。

 3つ目は、撒き餌の打ち方を一度に多めにするのではなく、一定量の撒き餌を定期的に入れていくようにしている。
 仕掛けを投入した直後は、3〜4杯の撒き餌を入れるが、後は、撒き餌シャクに1敗程度ずつクロの様子と、前に入れた撒き餌の様子を確認しながら打っている。
 様子を確認すると言う事は、撒き餌が見えなくなるとクロの姿が見えなくなるが、海中にある撒き餌の流れはクロの様子から想像する事が出来る。
 この撒き餌に寄っているクロの動きを見て、撒き餌を打ち込むポイントを修正する必要がある。

 都井の荒崎に、2番と2.5番というポイントがある。
 2番のハナレの足下と、2.5番の岸向きと舟着けは共に足下にクロが見え隠れする。
 これは、瀬がエグレていて、そこがクロの隠れ家になっているからだ。
 この隠れ家の中に挿し餌が入っていくようにしてやると、良型の地グロが当たってくる事が多いのだが、何せ瀬が狭くて、石鯛の宙づりスタイルで瀬際を狙うのだから不必要に動いてクロに警戒心を持たせないように気を付けなくては行けない。
 実際に、このように竿先を海面近くに降ろすようにして釣る方法は、クロが食いついた瞬間に竿先が海中に突き刺さるような感じになるが、思い切って道糸を出してやると、以外とクロは沖に向かって走り出す事が多い。
 そうなった後は、慌てずにゆっくりとクロとのやり取りを楽しめば良いのだ。
気を遣って、スリリングに楽しむ瀬際釣りは大物クロを手にしたときに喜びが倍になる。

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