高圧ガス製造保安責任者
国家資格 |
高圧ガス製造保安責任者はその仕事の区分により、保安管理技術者、保安主任者、保安係員に分かれている。 高圧ガスの製造所では処理能力に応じて、それぞれを配置し管理に務めなくてはならない。 ちょっとしたミスが火災や中毒、爆発につながる場合が多く、製造過程での管理は重要な任務である。 |
---|
受験資格 | 誰でも受験できる 免状の種類は9種で、試験合格ののち、所定の実務経験があれば甲種と1種は経済産業大臣に、 それ以外は都道府県知事に申請して交付を受ける。 |
---|---|
試験内容 | @法令 A保安管理技術 B学識 免状の種類と科目レベルは次の通り 【丙種化学(特別科目)】基礎的保安管理技術と基礎的機械工学など 【丙種化学(液石)】通常の保安管理技術と基礎的機械工学など 【乙種化学】通常の保安管理技術と通常の応用化学 【乙種機械】通常の保安管理技術と通常の機械工学 【甲種】高度な保安管理技術と高度な応用化学 【甲種】高度な保安管理技術と高度な機械工学 【第3種冷凍機械】 基礎的保安管理の技術(@とAの2科目のみ) 【第2種冷凍機械】 通常の保安管理技術と基礎的応用化学・機械工学 【第1種冷凍機械】 高度な保安管理技術と通常応用化学・機械工学 |
受験について | 11月の第2日曜日に行われる 【丙種】【乙種】【第3・第2種冷凍機械】全国各地 【甲種】【第1種冷凍機械】札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、広島、高松、福岡、宜野湾 受験料 【甲種】【第1種冷凍機械】¥12200 【乙種】【第2種冷凍機械】¥7400 【丙種】【第3種冷凍機械】¥6900 |
☆情報☆ | 5〜6月に高圧ガス保安協会が実施する講習を受講して、試験に合格し修了するとABは免除される |
関係法令 | 高圧ガス保安法(一般則、容器則、液石則、コンビ則。。。) |
問い合わせ先 | 高圧ガス保安協会 |
練習曲(エチュード)
高圧ガス製造保安責任者 試験記 |
---|
化学メーカーに就職後、就いた仕事は研究開発で、内容は大学の専攻とほとんど変わらないものでした。 研究の内容とは、触媒を使って耐圧容器の中で重合反応を行い、ポリマーを生成させる。 難しい重合反応については知らなくとも、ポリエチレンとかポリスチレンという言葉は聞いたことあるのではないでしょうか? それらの仲間をつくる仕事です。 企業会社に置いては大学の実験室とは違い、100ml容が→?立方メートルと、スケールが何倍にもなります。 ただ、入社当時の私の研究所はまだ基礎開発中で、まだ工業と呼べる大きさでは実験をしていませんでした。 それでもポリマー生産用の反応器を製作段階で、高圧ガス保安法に則った手続きや設計をしている段階でした。 高圧ガスを製造あるいは取扱う設備には、そのガスの種と量に応じて有資格者を配置し、安全管理を行わせなければなりません。 しかしながら、バブル絶頂だったころには100人という大所帯の研究室だったそうですが、私の入社時には、20人も居らず、 高圧ガス関連の研究は絶えて久しく、有資格者が一人(乙化)しかいませんでした。 そのため私の入社年に4人の上司先輩方が乙化の試験を受験しておりました。 試作反応器の完成とほぼ時を同じにして4人は合格し、設備管理組織は体制つけられましたが、 完成した設備を運転するのは元から有資格者だった先輩と無資格の私の二人ということになっていました。 というのも、運転者の二人以外はポリマーの用途開発が専門で、反応研究担当は私達だったからです。 法規上はすべての運転者が資格を持っていなくともかまわないのですが、担当者が無資格であるのは 問題であるし、安全管理のために法律や設備の勉強は必要であること、更に、もっと大型設備になった時は 甲種資格者が必要であること、などなど多くの理由を持って私も甲種化学試験を受けることになりました。 エチレン系重合を担当している身上、絶対に取得したい資格でありましたが、 とにかく難関な資格でしたので大いにプレッシャーを感じました。 就職2年目の5月、高圧ガス保安協会の講習会に参加し、その2週間後の修了検定合格を目指しました。 この2週間は上司の方の配慮から、毎日ほとんど残業無しで帰宅し、学識、保安技術、ガス性質を頭に叩き込みました。 英単語や地名、人名などの記憶は得意ではない私ですが、説明文や物事の意味、それに画像を記憶することは、 得意ですので自分で工夫して勉強をしました。 記述式の保安技術試験は、 問題文としては一行の問題も 問題「・・・の設備において、漏洩事故を防止するために講じなければならないことは?」 答、「漏洩が考えられるガスに適した検知機を、ここと、あそこと、あそこに設置し、ある一定の濃度以上で自動的に 警報等により漏洩を知らせるようにしなければならない。なお、ガスの漏洩場所が、こんな場所では、検知機の感度がにぶるので、こうして、 ここでは、こう、、、、(以下略) などと言った説明問題がほとんどで、鉛筆を転がせば答えがでるような問題ではありません。 回答を広い白紙一杯に記述し、学識、保安技術ともに各90分をフルに鉛筆を動かし、とにかく頭と腕が疲れる試験をやり遂げました。 試験は、保安技術には自信があったのですが、学識は合格ラインの6割がギリギリ。部分点が貰えないと落第、という手応え。 検定結果まで不安な日々を過ごしました。 その間、職場では完成した設備を使って、ポリマーの研究を行っていたのですが、試験のために勉強したことは 現場に措いても必要な事項でした。 また、一緒に作業した先輩からいろいろと教えを受け、 設備に関してド素人だった私も少しは知識を蓄え、大学教わる反応化学を知っていても生産はできないということを肌で感じました。 8月になって、明日から夏休み休暇という日に、自宅のポストの中に検定修了証を見つけました。 学識の出来が悪くて、半ば諦めていたので大変うれしかったです。 この検定修了証があれば、11月の国家試験は法令のみの免除試験となります。 上司先輩方には、たいしたものだ、とか、まだ若いから覚えが良い、などいろいろ言われ、 合格お祝いもしていただきました。 本番の11月の国家試験は、マークシート式の法令試験のみであり、前の試験や結果通知から間があったために、 5月の検定試験のときより勉強に身が入りませんでした。 しかし、昨年から出題傾向が変わり、法令だけとは言え難易度も更に増していたので、 直前になってあせって勉強を続けました。 勉強法は法令の条文を最初から読み進めていったのですが、 とにかく、但し書き、括弧書き、引用文が多数で、読み難く理解するのが大変でした。 そんな中で、過去の出題を条文ごとにまとめられた高圧ガス保安協会からもらった資料は大変役立ちました。 法令は、1問5文の正誤を判断する問題が20題。 そう聞くだけならば簡単じゃないか?と思われるかもしれませんが、「5つの文から、正しい文(あるいは誤った文)を1つ選べ」ではなく、 単に、「正しい文(あるいは誤った文)を選べ」なのです。 つまり、5文択一ではなく、1問の中に正しい文がいくつあるのか分からないのです。 アとオが答えの場合に、アだけでは不正解ですし、アとウとオを選んでも不正解です。 これは余程的中率の良い鉛筆を持っていなければ合格は無理。 20題×5文=100文の内、場合によっては9文間違うだけで、55点(ギリギリ不合格)となってしまう。 そんな法令試験もなんとか無事に受かり、その後、職場では大型生産機を新たに作り、セミコマ段階に移りました。 私の免状は、保安技術管理者(代理)と保安係員(代理)を背負い、 代理とは言え事実上の設備の設計・申請・管理を任されることとなりました。 県や製缶メーカーなどとのやり取りを通して、知識が実務に生かされ、日々勉強の毎日です。 |