Last update : May.15,2009
酒泉郷宇佐



 
 Chapter 9   「長洲初夏の和パスタ 浜風と太陽ん贈りもん」 -宇佐市長洲-

 江戸は天保年間より伝承される、宇佐市長洲の素麺、長洲麺。

 宇佐山郷から湧き出す清らかで冷たい伏流水。 雨の少ない瀬戸内式の気候風土。 九州を代表する穀倉地帯から生み出される良質の麦。 三位一体の好条件のもとで、技を磨き育まれた伝統的日常茶飯の王様です。

 長洲地区では、今でも興味深いソーメンの食習慣が残っています。
 それは、ソーメン汁。 つけ汁の違いなのですが、初夏に旬を迎える
通称ナガサレと呼ばれる骨が緑色した魚の煮汁で食べる『ナガサレ派』と、長洲特産のザッコ海老の醤油の煮汁で食べる『ザッコ派』
 長洲の浜では、この時期ソーメンを食べるにあたり、ナガサレ派とザッコ派が入り乱れてその美味しさを相互に喧伝し合うのです。 面白いでしょう・・・。
 ちなみに我が家は、ガンコ親父の所為で代々筋金入りのザッコ派です。
 

 Chapter 8   「昔は2軒、今1軒・・・名物長洲饅頭」 -宇佐市長洲 小松橋たもと-

 長洲の人なら必ず一度は食べたことのある「長洲饅頭」。 三代続くこの饅頭屋さんも、後継者がなく今のおばさんの代で無くなってしまうそうだ。
 百年以上もの長い間、地域の茶飯事を彩ってきた「長洲饅頭」・・・もも(ピンク)、くろ、みどり、やぶれ、シンプルなネーミングが素朴さを倍増させる。 ここには、飾り気はいらない明治の職人気質が間違いなく棲んでいる。
 1個40円、15個買っても600円也。 この満足感は一体全体何処から来るのだろう・・・!?


 3世紀、三国志のヒーロー諸葛孔明が始めた饅頭(マントウ)が13、14世紀頃日本に伝わったことになっています。
 日本の饅頭(マンジュウ)の起源は諸説あるらしいが・・・?。 1241年頃の宋で臨済宗を修めた聖一国師が伝えたとされる甘酒を使う博多説(酒饅頭)。 もう一つは、1349年頃禅宗のお茶と一緒に伝えられたとされる、ふくらし粉を使う奈良説(薬饅頭)などである。
 本来饅頭(あん・詰め物)は中国で主に肉が用いられたが、当時肉食を禁じていた我が国の事情により肉の替わりに小豆を使った饅頭が考案されたと言われています。

 
 Chapter 7   「具沢山で食べ応えのある宇佐の稲荷ずし」 -宇佐市畑田地区-

 学生時代東京で食べた、すし飯の見えない小さい稲荷ずしにビックリした。 なぜなら、故郷宇佐の稲荷ずしは2個も食べればお腹が一杯。 形も三角形、確か狐の耳がルーツだと教えられた。
 2月の初午の日、豊作祈願と稲荷信仰が結びついた稲荷祭りが市内で今も続いている。
 天保の大飢饉の頃、愛知県の豊川稲荷で生まれた稲荷ずし、東日本では酢飯のみの地域が多いのに対し、西日本では具のたっぷりはいった五目稲荷が多いらしい・・・!?

 おいなりさん ・ 稲荷ずし ・ 揚げ寿し ・ しのだ寿し ・ 狐寿司

 江戸時代の子ども達は2月の初午の日、寺子屋に入門した。
 
 Chapter 6   「宇佐 冬の贅沢 摘みたて海苔で新粕汁・・・旬しゅん汁」 -宇佐市長洲地区-

 極寒の豊前海で採れた摘みたての生海苔と、これまた搾りたての酒粕で作ります。旬と旬のぶつかり合う生海苔の酒粕汁、心も身体もほかほかです。
 今年の酒粕は滅多にお目にかかれぬ極上品、あわてて今年も作りました。
 長洲の蔵元では、昔から新酒の時期になるとご近所、お得意様に日頃の感謝を込めて、酒粕を配っていました。ちょうどその頃旬を迎える新海苔で浜の漁師さんが始めたのではと思っています。
 ちなみに我が家ではこの粕汁を「旬しゅん汁」と呼んでいます。
 

 Chapter 5   「高校生の必修科目・・・すっぽんの四つほどき」 -宇佐市安心院町-

 有名料亭で食べる数万円のセレブな料理もこの町に来れば日常食?!
 1kg以上のオスが一番美味しく、丸ごと食べると純アルカリ食品とは驚きだ。スッポンの別名「まる」もこのことが関係しているらしい。軟骨の湯引きと肝焼き、最近安心院で考案された新しい料理。郷土料理も後継者によって確実に進化している。
 食前酒に安心院ワインの白、食中酒は純米福貴野、ちょっぴり贅沢な宇佐安心院な日常茶飯事。

 『其滋味優逸為る事多くの食品中第一に推すべし。常にすっぽんを食せば終身白髪を生ぜず皺よらず慈潤少年のごとし。』
                   グルマン木下(安心院出身)の言葉

 
 Chapter 4   「親鸞さんのスイーツ・・・玄圃梨(ケンポナシ)」 -宇佐市四日市 西別院境内-

 「ケンポナシはいらんかえ~」・・・四日市の師走、お取り越の風物詩ケンポナシ売りの掛け声が聞こえてくる。

 ケンポナシの玄圃は中国奥地にある霊山崑崙の山上にある仙人の家のこと。この広葉落葉樹は結構大木となって日本全国に分布し、その大木は趣きのある家具になる。
 梨は梨でも「ラ・フランス」のような舶来風味の奇妙な木の実は、二日酔いに効くらしい。歳末酒席を控える宇佐の高邁な紳士淑女の皆々様、ケンポナシをお忘れなく。
 イタリアの葡萄で造る蒸留酒グラッパでケンポナシ酒に挑戦しています。
 
 Chapter 3   「上海蟹の兄弟、宇佐の川がに・・・絶品かにご飯と絶妙ふわふわガン汁」 

 宇佐地方で昔から盛んに食べられていた日常の郷土料理。
 この蟹は、わたり蟹の一種であるらしい。甲羅は海蟹に比べて少し丈夫で、食べるのにはちょっと骨が折れる。でもその身は上品でめっぽう美味い。蟹味噌の濃厚な旨味は蟹の中でもトップクラス。生酛系の日本酒かソーテルヌをあわせてみたい。
 あっさり目のかにご飯、ふわふわのガン汁、家庭料理だが市内の料理店で一軒だけ一年中食べられる所がある。
 かわがに、つがに、モズクがに、毛がにとこの蟹はほぼ全国に分布しており、呼び名もいろいろあるようだ。
 
 Chapter 2   「日本人の甘味の原点 吊るし柿」 -宇佐市法鏡寺・駅館川河畔-

 軒先にきれいに皮をむかれて整列する吊るし柿。 陽の光とゆっくりで贅沢な刻を重ねて優しい甘味を醸し出す。 見慣れたはずの光景もいつの間にか懐かしい。

 和菓子の餡の甘さは、干し柿の甘さが基本だと聞いている。それに美味しい干し柿は渋柿でないとできないらしい。

 3歳になる息子に、この吊るし柿を予約しよう・・・。
 
 Chapter 1   「山背風と山水で育つ矢部の米」 -宇佐市矢部-
 
宇佐神宮と深い係わりを持つ歴史的地区矢部・・・

 日本人のこと米に対する執着は、半端じゃない。 宇佐市に於いても、やれ安心院米、いや院内米とか・・・地区地区の米自慢は尽きることを知らない。
 矢部の米は残念ながらその作付面積と収穫量の問題でブランドとしては難しいらしい。昔から酒米としても人気の高かった矢部の米、一度は是非にご賞味あれ・・・・
 

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