天宇受売の命

引き歌

榊葉や  立ち舞う袖の追い風に 靡かぬ神は  座しまさずや

言い建て

只今 宇逗の広前に於いて しかも真心の法者 伊豆進正しの丹生を抜きん出て、三号庄王の志を申して白さく 慈悲の眼じより合い向かい、冠の輿を傾けて聞し召し 納上を 垂れ給えば、
抑 当社の御本地を尋ね奉るに、利益裏変のそん世をし 天に登り天照の孫と言辞 まった下界に下りては、天照豊受大神宮 共現れ賜う、国土霊民を救わん この内にるが故に国は神のますべき国と言えり、
今神の御子 既に生る、然と云えども 其の神の体を見る事なし、是によりて神弁満宝の蔵顕と云えり、神道無ければ 諸方無し 諸方無ければ、霊民無し、天つ神は岩戸を押し開き、梵天の御祈修に叶いばやと 存じ候、
然らば自らも 大神の御心を 慰めんが為 岩戸の御前にて一奏でも奏じ奉らんと存じ候

舞手は 八丈野さんです。岩戸の前で しなやかな舞を奏じ この後 戸取明神の登場です。