鉄格子のついた窓の一つに、加奈が小さな顔を出している。
 目が合う。

隆道:「……………………」
加奈:「……………………」

 加奈が孤独な存在であると、唐突に理解した。
 一人ぼっちなのだ。

 もっと早く面会に来なければならなかった。
 なにをぐずぐずしていたのか。

美樹:「……なんだか寂しそうねえ」

 俺の感じたことを、看守の美樹さんが代弁する。


〜加奈SSS番外編 〜

『仁義無き…』

(C)かんげつさん

 

 コンクリートの高い壁が延々と続いている。

 

 ここは某刑務所の外壁。

 俺の正面には鉄の扉が固く門を閉ざしている。

 今日は加奈の刑期が終わる日…。

 俺は加奈を出迎えにやって来たのだ。

 

 扉が開いて、加奈が出てきた。

 看守が一人、見送りに出てきた。

 

看 守:「もう、こんなとこに戻ってきちゃダメよぅ」

加 奈:「はい。美樹さん、お世話になりました」

 

 看守と挨拶をすませると、加奈は俺のほうに駆け寄ってきた。

 

加 奈:「ただいま、お兄ちゃん」

隆 道:「お帰り…ってのもヘンかな?」

 

 感動の再開シーン。

 ここらで、エンディングテーマが流れてスタッフロールが画面に浮かんで来るハズだったのだが…。

 

 突然、何台ものベンツがやって来て俺達の周りを取り囲むように止まる。

 そして、続々と車の中から、黒いスーツ、サングラス姿のガタイの良いガラの悪そーなお兄さん達が出てきた。俗に言う『極道な人達』

 そして俺達の前にずらっと整列。

 

 な、何事よ!?

 びびりまくるオレ。

 

 すると黒服の一人が一歩進み出た。

 

黒 服:「アネさん、お務め、ご苦労様でした!!」

 

 加奈の前で頭を下げた。…加奈、この人達、知り合い?

 

加 奈:「…みんなも出迎えご苦労様」

一 同:「「アネさんっっ!!」」

 

 感極まって泣き出す野郎ども。なんなのよ、このノリは…。

 

黒 服:「ところでアネさん、こちらの御仁は?」

加 奈:「私のお兄ちゃん…」

 

 と、とりあえず挨拶しなくちゃな。なおもびびりまくるオレ。

 

隆 道:「は、始めまして、藤堂隆道です。ヨロシク…」

 

 笑顔で挨拶してみる。多少、ひきつりながら…。

 

黒 服:「隆道兄さんですか。こちらこそ、よろしくお願いしますっ!!」

 すると、加奈、不満そうに『ふるふる』している。

 

黒 服:「アネさん、いかが致しました?」

加 奈:「兄さんじゃなくて、お兄ちゃんなの…」

黒 服:「し、失礼しました。オイ、野郎ども! 隆道お兄ちゃんにご挨拶だ!!」

一 同:「「隆道お兄ちゃん、よろしくお願い致しますっ!!」」

 

 黒服一同、俺に向かって一斉に頭を下げる。

 はっはっは…。無意味に薄笑いを浮かべるオレ。

 こんな時に薄笑いを浮かべるのは日本人の悪い癖だというが、他にどーしろってゆーのよ。

 ガラの悪そーなお兄さん達に『お兄ちゃん』って呼ばれてもちっとも嬉しくない。

 加奈はというと、満足そーに『こくこく』してるし…。

 

黒 服:「アネさん、組の事務所で出所を待っている連中が居ます。どーぞ御車へ」

加 奈:「…うん、ありがとう」

 

 そう言うと、加奈は黒服達に先導されて車に乗り込んだ。

 

黒 服:「ささ、隆道お兄ちゃんもどうぞ」

 

 俺も行くの? やっぱり? なんつーか、逃げ出したい気分。

 状況に流されっぱなしだな…。どーなっちゃうのよ、コノ先…。

 


次回予告編(嘘)

 

黒 服:「アネさんっ! このまま鹿島組に好き放題やらせていいんですかっ!!」

加 奈:「……(ふるふる)」

一 同:「「アネさんの『ふるふる』だっ!!」」  

黒 服:「アネさん、それじゃあ、やる気ですねっ!!」

加 奈:「……(こくこく)」

黒 服:「野郎ども、戦争の準備じゃあっ!!」 

隆 道:「俺も行くの? やっぱり?」

 

『仁義無き極道の網走番外地 〜今度は戦争だ〜 』に続き…ません。