は ば た く 気 持 ち

「亜久津は俺のこと好き?」
「ああ」
ちょっとというか、かなりドキドキしながら訊いたら、あっさりと返された。
気持ちを疑う訳じゃないけれど。
俺のほうを見もしないで答えられた簡潔な返事に拍子抜けしたのも本当。
ちぇっと内心で舌打ちした時、気づいた。
隣を歩いていたはずの亜久津がわずかに早足になってて。
数歩先を行く亜久津に走り寄った。
「亜久津は俺のこと、好き・・・だよな?」
下から覗き込むようにして訊くと、思ったとおり。
耳まで赤くなった亜久津がそこにいた。
「今更、確認する事でもないだろ」
ぶっきらぼうに答えた亜久津の少しだけいじけた顔が年相応で。
俺にしか見せないその表情に、くすぐったい気持ちになった。
「うん。でも俺も亜久津のこと好きだから、気持ち伝えたいよ?」
そう言うと亜久津に噛み付くようなキスをされた。