欠 け た 太 陽

千石が風邪をひいた。
季節の変わり目、というのが第一の原因ではあるが、それのみというんじゃない事実は俺も知っている。
ここ最近、連日俺の家に泊まっている千石。
そうなるとただ一緒に寝るだけじゃ済まない。何かに憑かれたかのように千石の身体を求めてしまうから。
だけどしょうがないだろう?
すぐ傍に体温を感じれば、手を出したくなってしまう。
抱き締めて、熱を感じたくなるのは。
存在を確認したくなるのは間違ってることか?
熱のせいで潤んだ瞳で見上げられて。
そんなこと望んじゃいないのを承知で貪るように口付けた。絡めた舌から伝わる、いつもとは段違いの熱。
はっとして身体を引いたら、力の入らない腕が首に回されて元の位置まで引っ張られた。
「・・・・・・東方、ねぇしようよ」
吐く息も荒い千石が請うように口唇を寄せてくる。
触れる肌はどこも熱い。自分からは動けなくて、されるがままだったが千石の潤んだ瞳にじっと見詰められてるとこっちまで熱に浮かされそうになる。
誘いに乗るのは至極簡単だが、千石の体調のことを考えるとそうもいかない。どうしたものかと千石を見やる。
「・・・・・・熱がある時にするとね、下がるんだって」
首を傾げるようにして、ちゅうっとキスされた。
明らかに誘いのそれにキスで答える。
「なら、俺に移せ」
「一緒に寝込めばいーんだよ」
ね?と訊かれて苦笑を返すと千石の寝ているベッドへと滑り込んだ。