紅い華 * オマケのH編
何度か角度を変えつつ、千石の唇を味わう。
厚いとも薄いとも言えないその唇。
触れ合った時は冷えてたのか、どきりとするほど冷たかったそこが段々と熱を帯びてくる。
舌先でちょんちょんと突付くとすんなりと薄く唇が開く。
その瞬間が待てないように東方の舌が進入すると千石の舌がそれに応えて絡みついてくる。生暖かい感触に酔うように何度も何度も。
しばらすると飲みきれなかった唾液が口の端から零れ落ちた。
唇を離すとつ・・・と銀色の糸がふたりを繋いでいるのが見えた。
千石のバスタオルを掴んでいる手が外れ、東方の首へと回される。
「・・・ごめん、Tシャツ濡れちゃうよ・・・」
きゅっと抱きつくと千石がちいさく謝った。
拭き取りきらなかった滴が東方のTシャツに吸い取られ、濡らしていく。
「そういうおまえはシャワー浴びたばっかだけどな?」
汚させてもらうぞ。
咽喉の奥で笑ってそう告げると、千石の身体が奮えたのがわかった。
手が外れたおかげで、落ちたバスタオルに隠されていた千石の身体がすぐ東方のそばにある。濡れるのも気にならず、東方は千石に手を伸ばした。
ずるずるとタイルの壁に凭れていた千石が沈んでいく。
東方のキスが千石の身体を溶かす。
歯列を舐められ、舌を絡められ吸われる。
唇から離れた東方のキスはそのまま首筋へと移動する。時々甘噛みされ、その度にびくりと千石は身体を震わせた。
優しく降ってくるキスの合間に、千石は濡れたままの髪が額に張りついたのを後ろへと流した。
東方の唇はそのまま千石の咽喉から鎖骨へと伝い、下へ下へと滑っていく。
びくりと千石の腰が震えた。
東方の唇が千石の赤い突起に辿り着き、濡らしていく。
と、同時に項を掴んでいた右手が下肢に伸び、露わになっていた千石自身を触れるか触れないかのタッチでなぞっていく。
「・・・・・・あ、はぁっ・・・・・・んん・・・!」
もどかしいその愛撫の仕方に千石は東方の肩を力の入らない手で叩く。
「なんだ、千石?」
東方はわかっていて、あえて聞かない。
潤んだ瞳を伏せて千石が弱々しく俯いた。東方は意地悪だ。途切れる口調で呟く。その間も微妙なタッチで動くものの触ってはくれない。
「やだ・・・・・・ちゃんと、触って・・・・・・!」
はぁはぁっと荒い息の中で千石が言うと、東方の手が千石自身を包み込んだ。
瞬間目の眩むような快感が千石を襲う。
キスだけでも半ば勃ち上がっていたそこは、やわやわと愛撫されただけでびくびくっと震えている。剥き出しの下肢にちらりと視線をおくった東方は濡れた突起から舌を離すと千石の性器に舌を這わしてきた。
その直接的な感触に思わず千石は身を捩って、体を逃がそうとするが東方が許すはずもなく。片手で簡単に腰を固定され、上から上下に舌を動かされて、千石は熱い息を吐くしかない。
くちゅくちゅと慣れた水音が聴覚に飛び込んでくる。
東方の舐める音なのか、自身の先端から溢れるもののせいなのか。
力の入らない膝を震わせて、千石は自分と同じように後ろに流されただけの東方の頭を抱え込んだ。
だんだんと東方の動きが速くなって、千石の震えもつられて速くなる。
「――・・・・・・くぅ・・・ふ、ン・・・・・・ん・・・・・・」
「イけよ」
そう告げられた後、咽喉の最奥まで飲み込まれて、千石はびくっと腰を震わせた。
「・・・あや・・・・・・はっ・・・ああああああ!」
一際高い嬌声が千石の口から漏れた。
東方の咽喉の奥へ熱を放ると千石の身体からかくりと力が抜ける。
慌てるでもその身体を片腕で支えると、東方は飲みきれずに口の端から零れた白濁の液を指で掬い取り、千石の脚の間へと差し入れた。
どろりと濡れたものを千石の尻のはざまになすりつける。
荒く息をついていた千石が無言で腰を持ち上げ、東方はその蕾に精液を注ぎ込む。濡れた指先を奥に奥に潜り込ませると千石がちいさくうめいた。
「・・・んあ・・・」
体の芯が熱くなる。
東方の指が中を擦ると、無意識に腰が動く。もっともっと太いモノが欲しいと望んでいるのに。
だが東方はいつものと違って焦れったいほど執拗に蕾に指を銜え込ませるだけで。
ぐちゅりと卑猥な音がシャワー室に響く。
もうそこがとろとろになるくらい絶え間ないその刺激に千石は涙を流し、荒く息を吐く。乾いてくる唇を舌で舐めた。
「ねぇ・・・もう、お願・・・い」
息も絶え絶えにそう東方に懇願したものの、東方は薄く笑って挿れてくれない。
「・・・・・・ひが、しかた・・・?」
涙でぼやける視界に東方を探す。
敏感になりすぎたそこが東方の指を感じるたびに身体が跳ね上がる。
快感で湧き上がる涙は枯れることを知らない。
ねぇもう、我慢できないよ。熱い吐息が千石から漏れる。
「ねぇ・・・東方、お願い・・・!」
いつの間にか一度は萎えた千石のモノが勃ち上がっている。
蕾に挿れられた指はそのままに、東方の空いた手がそこへと絡む。
「・・・やぁっ!・・・」
びくっと千石の腰が跳ねた。
上へ下へと撫で上げられ、指先でぐりっと先端を弄られる。ひくひくっとそこは物欲しそうに蜜をこぼして打ち震えていて。
蕾への執拗な愛撫にただでさえ危うくなっているのに、前と後ろと両方嬲られれば耐え切れるはずもなく。感極まって、二度目の射精に達する――というところで絡んでいた指がするりと動き、千石の根元をキツく絞めた。
「――・・・・・・!」
はっと東方を見やった。
覆い被さるようにして覗き込んでいた東方を千石が見上げる。その目元は欲情のせいでうっすらと赤くなっている。涙の浮かんだ潤んだ瞳が東方を無言で責める。
「ダメだ、千石」
東方の静かな声が千石の耳に届いた。
低いその声にぞくぞくっと背筋を震わせる。
行為の最中なのに、その落ち着いた声に自分ばかりが登りつめさせられて、と歯がゆくなる。
「ちゃんと言ってくれ。どう、されたい?」
耳元でうたうように囁かれる。
東方は意地悪だ、千石がもう一度そう返すと東方がちいさく笑った。
「言えよ」
強制でもない声色なのに千石は逆らえない。快感に震えっぱなしの千石の身体はもうどうにかなってしまいそうで。開放して欲しかった。
「――・・・・・・ひ、東方の挿れ・・・て・・・・・・」
それが合図のように。
膝の上に担ぎ上げられたかと思うと東方がやっと自分の高ぶりを千石のそこに埋め込んだ。千石が思わず息を呑む。何度繋げても絶対の質量をもつ東方のモノには慣れない。挿ってくる瞬間、あまりの大きさに身体が裂かれるような間隔に陥る。
今日の東方はいつにも増して、その感がある。
だからだったのか、それでも痛みより快感を感じてしまうくらいには東方は慣らしてくれたらしい。
東方の猛ったものは千石の内部で躍動し、中を刺激した。
「あっ・・・・・・やあ・・・ん‥‥‥っ」
汗で湿った千石の細い腰を掴んで揺さぶり、東方は律動を繰り返す。
下から突き上げられるが痛みがまるでなかった。
ただ、ただ気持ちよいだけ。
「・・・はっ・・・あす・・・げ、気持ちいっ・・・・・・!」
ぽろぽろと快楽によって生まれる涙が千石の頬を濡らす。
東方のモノが内部を揺さぶるたびに千石の口からは嬌声が漏れる。どんどん体が熱くなり高みへと導かれて行く。射精直前まで高められていた千石の性器は東方の律動ですぐにその状態へと持ってかれる。
「――・・・・・・ああっ、も・・・・・・」
もうイく。そう呟くと千石の性器がぶるっと震えて蜜を迸らせた。
その直後、ぎゅっと締め付けられる襞の感触に東方も千石の奥へと熱を解き放った。