主に他県での発表を続けてきましたが、今年は宮崎市で9年ぶりの個展を開催することに。内容は、昨年発表のインスタレーション『這う者の翼/飛ぶ者の枷』に、新作オブジェ11点を加えた構成です。(厳密にはこの発表は企画扱いではありませんが、今回宮崎でやらなければ!という想いが強烈にありましたので、発表に踏み切りました。)

光野浩一展

『這う者の翼/飛ぶ者の枷(Ver.MIYAZAKI)』

(はうもののつばさ/とぶもののかせ)

2003.11.6〜30 宮崎市・ギャラリー・ウインドファーム

 



INSTALLATION  『這う者の翼/飛ぶ者の枷(Ver.MIYAZAKI)』


 

 

 
     
 

基本的には昨2002年、福岡市アートスペース貘で展示したものとほぼ同じ。ただし、ライトボックスの画像は全て宮崎市で新規に撮影。天井から下がる空の画像は、この秋の台風上陸前日のもので、『太陽と緑の国』という紋切り型の地域イメージを意識的に崩す。

会場は宮崎のイメージと体質を象徴する『シーガイア』施設群の近くでもある。



OBJECTS 『耐え難くも甘き不在』    
     
 

内鍵の掛かった文字入りボックスのシリーズ。

(画像クリックでシリーズ詳細へ。)


 OBJECTS 『LOCUS/POINT』
 
 

直方体の台座に、薄く鉛筆で正方形のフィールド(サイズは公式試合用チェス盤のひとコマに準じる)を描き 、キング駒を乗せる。

(roll over imageは上部詳細)

     
OBJECTS 『CROSSING』

 

 

 

 

十字型の上面を持つ台座に、正方形のフィールド(サイズは公式試合用チェス盤のひとコマに準じる)5つを区切り、それぞれ塩と炭を混合して作った異なるグレーで覆う。

(roll over imageは上部詳細)

 

 

OBJECTS 『EPITAPH U』    
 

黒みかげ石で作ったドアノブに掛けるプレート状の立体。両面に『DO NOT DISTURB』の彫り。

(roll over imageは裏面詳細)

   

 

OBJECTS 『MIND GAMES』 (未公開)    
   

会場の広さから考慮し、発表を見合わせた作品。スタンダードな競技用チェス盤大の白い板にキングのみが2つ乗っている。キングのポジションは薄く線で示されるものの、その他は真っ白である。

(roll over imageは部分拡大)

 



『這う者の翼/飛ぶ者の枷(Ver.miyazaki)』

自らの位置付けを確認しつつ、世界の成り立ちを探るために利用できるモデル。
他者の介入で変化する、不確定な要素を孕む世界の縮図。

宮崎で美術に関わるが故の悩み。その状況と向き合うために必要だった制作。その作品を再び宮崎市で公開する勇気を得るのには9年のブランクが必要でした。

しかし、この地における現代美術アレルギーがいくらか収まったと見えても、その触れ方・向き合い方は大きな問題を抱えます。
(*作品が無理矢理こじ開けられて破損する事件が相次ぎ、親が我が子の落書きを誤魔化すために芳名帳を隠す事件も起こりました。)
語気を荒げるのは容易ですが、この現状と向き合い、『県民が文化全般を尊重しつつ親しむ姿勢』を根気強く守り育てることも作る側の仕事であると強く感じました。