1999年・福岡市・アートスペース貘で発表のインスタレーション『The grave for lost child』にはプロトタイプ/マケットが存在します。当時宮崎市在住のインスタレーション作家・サイトウヨシユキさん主宰の『GALLERY SITE』(現在は閉廊して雑貨ショップ『STUDIO SITE』のみ開店)で発表の話があり、試作を行っていたのですが、サイトウさんが居を移されることとも重なり、実現には至りませんでした。このセンターユニットを別バージョンとして展開したものが福岡の個展で実現したわけです。
2Fにあるギャラリー入り口には開放感のある金網様の渡り廊下が延びる。 展示室入り口には中心に一本切れ目の入った黒ラバー製のカーテンが下がる。 |
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重みのあるカーテンの内側には黒く塗られた通路がある。実際の明かりは遮断されて真っ暗で、手探りで進まなければならない。 | ||
やがて右側に明かりが漏れているのが見える。 これもやはり中心に一本切れ目の入ったラバー製のカーテンで、通路側は黒・内側は白で塗られている。 |
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カーテンを押して入ると、白く明るい部屋に出る。 部屋の中央には台座があり、黒いベビーベッドが据えてある。 |
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床面には一面に黒いフロッピーディスクが敷き詰めてある。鑑賞者はこれを踏んで歩くことになる。 | ||
ベビーベッドの中には、一枚、フロッピーディスクが浮かせてある。 | ||
セット全景。 メインの白い部屋を囲むようにして、暗い廊下が配されていることがわかる。 |
個人の誕生と死、世界との関わり、パーソナリティと匿名性、それを暗喩し、体験後の外界の感じ方を変容させる空間。
それがこの作品です。
比較的広く、設置の自由度も格段に高いギャラリーだからこそできる作品でしたが、このような建築的な要素を含む作品も、またいつか実現させたいと考えています。