福岡市・アートスペース貘の企画作家になって10年目の個展です。出品作は、インスタレーション『CROSSING』1点。
ここ数年来チェス盤をモチーフにしていますが、今回はこれまでと異なる展開になっています。


光野浩一展

『CROSSING』

2006.10.30〜11.12 福岡市・アートスペース貘



INSTALLATION 『CROSSING』

 


 




 

室内の床面は一面、チェス盤様のチェックのパネルで埋められている。ひとマスの大きさは、大人一人が楽に立てる程の大きさ。

その中央のマスがせり上がったように、人の背丈程のグレーの直方体が立っている。

     
 

直方体の直上に、床面のマス目に呼応した、同寸法の構造体が吊られている。このマスの形態は、チェスのキング駒が進行可能な範囲とも一致する。

構造体中央は直方体に向かって突き出す形でライトボックスがついており、空模様を映す。

(roll over imageはライトボックスのUP。)

     
 

直方体正面には十字形の窓が開いており、中が覗けるようになっている。内部は上下から照らされ、思いのほか明るく見える。内部はミラーで囲まれており、時折自分と目が合う。

(roll over imageは十字窓のUP。)

     
  直方体正面の十字形の窓から下部を覗く。マス目の上に、異なるグレーで塗られた競技用のキング駒が置かれており、それが内側に貼られたミラーで無限に反復して見える。
     
  直方体正面の十字形の窓から上部を覗く。外部直上のライトボックスと同様の空模様がモノクロで照らされる。下部のマス目と呼応した線が引かれ、それが内側に貼られたミラーで無限に反復して見える。



『CROSSING』

自己の中の他者、他者の中の自己、それぞれの中にあるそれぞれの関わり・社会。
知り得ているようで、客観的に成り得ない、どこまでも断片的な世界のモデル。

中に深く入り込むことが可能な作品を制作することで観客と感覚を共有したい。それが『交わり』の一点に過ぎないにせよ。
『交わり』の同時発生と連続・擦れ違い。あるいは交わらなさと時折の気付き。ここに救いがあるかは明言できませんが、これが生きるべき現実なのでしょう。

現実の中に訪れる精神的な死。それでもある可能性と祝福。その確認のために創った作品です。