福岡市での個展。近年展開しているシリーズ新作です。

光野浩一展

『 SQUONK 』

2019.11.25〜12.8 福岡市・アートスペース貘



INSTALLATION  『 SQUONK 』

 

白い室内の中央に直方体が展開。中に黄色系のコートが立つ。

また、四方の壁は薄板状のユニットで埋められている。




中央の黄色系トレンチコート。デザインはごく一般的なもの。

所々が破れた金属籠状のトルソに被せる形で宙に浮く。

 

     

コートは薄い飴ゴム製で、周囲に特有の匂いを漂わせる。トルソには掛けるのみで、袖やベルトが垂れ下がる状態。

コートは展開途上(または閉鎖途上)の直方体ユニット内にある。

ユニット内壁にはジオラマの建物や道を暗示する窪みがあり、道はコート下から盤面の外・四方に伸びている。

壁面には大小様々なジオラマが水平・垂直を意識した形で点在している。

それぞれにはボードゲームのパーツで街並みが作られており、全体は都市迷彩の様相。

直方体ユニット外壁は周囲のジオラマ同様の色で都市迷彩が施されている。
 

 

 

 

 


『SQUONK』

今作は前回の個展発表作と対になるシリーズです。コートは心理学に言う「ゴムの壁」(自己実現を阻み、家族の役割に引き戻す装置)から発想しています。

九州コンテンポラリーアート展出品作『ダイダロス達の憂鬱』で「都市自体が都市迷彩で隠蔽されている」という発想を形にしましたが、今回はそれを入れ子状態にしました。構造的には前作がポジ、今作がネガと言えるものです。

観ていただきたかった作家諸氏との再会・深い考察が印象的な発表でしたが、結構気に掛けていただいていることが判り、嬉しく思いました。自分は獏の作家だと胸を張るに値するほどに成れたのでしょうか。

ちなみにSQUONK(スクォンク)とは北米の伝承にある想像上の生物。人間に発見されると自らの涙で溶け消える程臆病とされます。その存在を現代人の生になぞらえ、社会との繋がりの可能性・断絶について考える場を創出したのが今作です。