鹿児島市での初個展。昨年度・福岡発表作の鹿児島バージョンです。

光野浩一展

“SPINNING WHEELS (KOJ)”

2010.11.20〜27 鹿児島市・マルヤガーデンズ (garden6)



INSTALLATION “SPINNING WHEELS (KOJ)”

 

ほの暗い展示室内。床面近くに白いジオラマ数台が浮いている。床面は白いカーペットで覆われる。
観客は室内に踏み入って作品を体験する。




ジオラマはすべてよく知られたボードゲームの部品の集積で構成されていることがわかる。

ジオラマ上には道が暗示されるだけの空きと、所々パーツの型のみが抜かれた場所が見られる。

   
正面の壁にはゲーム唯一のルールと目される“CHOOSE”の文字が配される。 空間はごく小さな音量のノイズで満たされる。(同ゲームの進行に使われるルーレット数種の回転音をランダムに重ねたもの。)

ジオラマ高は二十数cmで、それ自体には圧倒される程のボリュームがなく、空間の広さが意識される。

会場に足を踏み入れた自身の気配や違和感を感じながら、観客は作品に参加する。




“SPINNING WHEELS (KOJ)”

SPINNING WHEELとは、回転する輪。一般的には紡績用の糸車の意で、ルーレットや歯車も指し示す。KOJはIATA(国際航空運送協会)の定める都市コード/空港コードで、鹿児島を表す。

仮想のゲームへ参加する際に生じる違和感や迷いは、人生や幸福論に対するそれに重なる。
確かなことは、何も確かでないこと。それでも生きていくこと。

福岡と宮崎で年ごと交互に発表するのが基本スタイルなのですが、宮崎発表年にあたる今年、これまで使用していたギャラリーの閉廊を知りました。急遽鹿児島での発表となりましたが、商業施設内のギャラリー使用は新鮮な体験でした。

ベビーカーを押して鑑賞される方やお家の方を呼びとめて熱心に見入る小学生が印象的でした。もともと不特定の客層を想定し設置強度を高くしていましたが、大切に鑑ていただけました。構えも杞憂に終わったようです。