2003年発掘会情報


M・A・Pの活躍の舞台、ときわ通り商店街には平成18年、市民総合文化ホールがオープンします。アートストリートの展示も、この敷地内でのものに移行していくわけですが、建設予定地にはその昔、『小松原焼』という焼き物の窯元がありました。天皇家へ献上されてきた独特の味わいを持つ焼き物なのですが、窯元は戦時中に宮崎へ移転を余儀なくされ、現在都城の地ではその技術を受け継ぐ者もなく、いつしか忘れ去られていたのです。(現在宮崎に存在する小松原焼の窯元の作品には歳月相応の変化が見られ、この地にあった頃のものとは味わいが異なるようです。)
M・A・P事務局の芦田さんはそこに着目。窯の痕跡が本格的に埋もれてしまう前に、M・A・P主催の陶片発掘会を企画したのです。発掘した陶片はホールの壁や通路に埋め込まれることでこの地の歴史を語り、新しい命を得るはずだと。市に話を持ちかけたところ、窯跡の存在には全く無関心な有様で、8月末日に決まっていた発掘会は何の問題もなく行われるかに思えました。


ところが、発掘許可を取って話がいよいよ具体的になり、小松原焼の無視できない歴史的価値が浮き彫りになってくると、市文化課の態度は一変します。「民間での実施はできない。市の方が企画をする。」とストップをかけたのです。市民が自分たちの住む地域の文化を再評価する機会を積極的に創り上げたというのに、今までそれを全く重要視していなかった行政に後出しで横取りされる形になってしまいました。どうにも釈然としない態度に話は二転三転しましたが、結局市の企画として(アートストリートの開催される)11月に発掘会を開き、M・A・Pがそれに加わるという形に落ち着きそうです。 無論、行政側が地域文化遺産の全てを掌握しているか、全てに迅速に適切な手を打てるか、と言えば、それは無理かも知れません。発掘にせよ、民間で自由にできない手順があるようです。けれども、やはり納得のいかないものが残ります。市民が地域を愛する気持ちをもっと尊重した対応は無かったものかと考えてしまいました。

*結局、会期と離れた10月25日に開催され、MAPメンバーも参加しました。5cm大の廃棄済み陶片が主な出土品です。


M.A.P in Action!