スリワリのチヌとクロ
チヌ2枚の釣果、50pオーバーの良型
鍋ちゃん奮闘中、相手はキロオーバーのクロ
いつも通り、釣友の鍋ちゃんと夜が明けての瀬上がり。
今日は、南郷のスリワリ瀬にて竿出しすることになった。狙いは今がノッコミ期のクロとチヌ、チョット欲張りすぎだろうか。
夫婦浦の港の前に並ぶ島々の、一番東側にあるこのスリワリは良型のチヌやクロが釣れることで釣り人の間でも人気のある磯だ。
今日の仕掛けは、キザクラの全層環付きミドルの00号を使った全層仕掛け、それに対応できる撒き餌としてマルキューのグレパワーグランディスを使用している。
仕掛けが出来たところで鍋ちゃんが東を向いて左側に、私が右側に釣り座を取った。
20mくらい沖目に遠投して、水島方向に流れる下り潮に仕掛けを浮かべる。
第一投目のこの瞬間は、大きな期待感があるだけに「さあー来い」と攻めの姿勢で釣りをしている。
仕掛けの投入を数回繰り返していると、突然、朝日に輝く海中に私のウキが入っていくのが見えた。
思わず、腰を落として溜めるほどの凄い引きだ。
グイグイと底走りする様子から、良型のチヌであることが分かる。
鍋ちゃんも「そりゃ、チヌやが」と私の竿に出るアタリを見て察している。
上がってきたのは50pを優に越している良型のチヌ。狙っていた獲物だけにクロではないが嬉しさがこみ上げる。「鍋ちゃんより先に釣った」私の本音である。
鍋ちゃんから借りたストリンガーに掛けてチヌを泳がしておく。
2枚目のチヌも、それからすぐに私の仕掛けを引ったくって行った。
グングンと最初のチヌ以上の力強い引きで、私を楽しませてくれる。
無事にタモに納まったのは、やはり50pオーバーの銀黒色した丸々と太ったチヌ。
道理で、重々しい重量感が竿を通して、私の全身に伝わってきたはずだ。
これで鍋ちゃんも心中穏やかではないはず、きっと、焦っているだろう。
でも、このスリワリは鍋ちゃんの得意とするポイントでもあるだけに、上り潮が動き出せば、きっと狙いのクロをヒットさせてくるだろう。
私が2枚のチヌを釣り上げてから、午前中はパッタリとアタリが止まってしまったように静かになってしまった。
撒き餌をまいても、まいても、寄ってくるのはオヤビッチャなどの餌取りばかり。
久しぶりのアタリは、またしても私に来た。
私の全層環付きミドルの00号がゆっくりと海中に没していくのを目で追っていると、突然沈むスピードが速くなった。
確かに魚が食っているのだが、さほど強い引きではない。
上がってきたのは25p程度の小型のイサキだった。
今が旬の魚だけに、持って帰って私の大好きな塩焼きにしよう。
この頃から塩が変わり始めて、待望の上り潮が入ってきた。
「これは、クロが期待できるぞ」私がそう思っているのだから、鍋ちゃんも同じ気持ちだろう。
そして、今日のその時はやってきた。
どこかのテレビ番組のセリフである。
鍋ちゃんが獲物をヒットした。正体はもちろんクロである。
腰を落とし、足下に突っ込むクロを慎重にやり取りをして、何とか海面に浮かそうと奮闘している。
きらっと輝きを見せて海面に浮いてきたのは、sを超す良型のクロ。
クロ大好き釣り師の私としては非常に羨ましいが、鍋ちゃんの粘りが功を奏した瞬間であり、鍋ちゃんが今日のトロフィーを手にした喜びの時でもある。
私に先を越されていただけに、喜色満面で誇らしげにクロを掲げる鍋ちゃんの笑顔が輝いて見える。
これで二人ともボーズではなく、楽しい1日の釣りを終え迎えに来た夫婦丸に乗り込んだ。