初秋の水島 クロの奔り

 台風14号の後、ずっと時化続きだった海がようやく凪になり、丁度1ヶ月振りに水島に秋のクロ釣りに出かけた。
 1ヶ月も釣りに行かないと、何となく体のリズムが整わない感じがしていて前日から道具の準備をするのにも、いつも以上に子供の遠足気分満開だった。
 
 10月8日早朝、いざ出陣と我が家の玄関を出ると雨が降っていた。
 「嫌な雨だな…波がでらんければ良いけどな…」
 車を走らせ夫婦浦港に着くと、先客がいて車の中で雨宿りしていた。
 ここまで来れば、雨は関係ないとばかりに身支度を整える。
 やがて、出港となり水島1瀬に舟着けした。他船は3瀬に着けて全員降ろしたようだ。今日は1瀬は夫婦丸の釣り客9人で貸し切り状態になった。
 ジャンケンに弱い私は、ビリになり福岡から見えている中田さんと一緒に高場の下で竿を出す事になった。
 潮は東からの下りの突っかけ…しかも、流れが速い、フカセ釣りには最悪と言っていい潮だ。
 
 メガネの井上さんは、高場で石鯛を狙っているだけにこの潮は良い潮になっている。
 私たちも頑張ろうと仕掛けの振り込みを繰り返していると、私にコッと小さなアタリが来た。「何か来たぞ」そう思って竿を立てようとしたときに、ググッと海中からの強い引きが伝わってきた。
 朝早い内のアタリだけにチョット慎重になったが、上がってきたのは30pクラスの地グロ。小さい割には結構楽しませてくれる引きだった。
 
 舟着けでは浜田さんの息子さんが竿を曲げている。引きを楽しみながら上がってきたのは私と同型のクロだった。
 今日は幸先良いけど型が今一小さいな…と思っていたら、福岡から見えている中田さんが「いや、あれだけ在れば福岡では良い型ですよ」と言っておられた。
 ならばと頑張るが、浜田さん親子も他の釣り客も30pクラスのクロにサイズアップが思うようにいかない。
 しかし、水島は昼から先が調子が出てくるポイントなんだ。
 インキョでは無数のクロが湧いていて、10枚以上は上がっているようだ。
 浜田お父さんも裏の舟付けで型の良いクロを3〜4枚程度釣り上げているようだ。こちらから見ていると時折大きく竿が曲がるのが見える。
 高場の井上さんにアタリが来たが、大きなサンノジ…残念。
 
 私としては何とかして中田さんに水島のクロを釣り上げてもらって、水島の楽しさを堪能してもらいたいのだが、場に不慣れなためかなかなか思うように実力発揮とは行かないようだ。
 しかし、午後2時過ぎにようやく中田さんにもアタリが来た。
 結構な曲がりを見せて、海面に姿を見せたのは小さいながらもオナガだった。
 「良かった、1匹釣れて嬉しいです」
 満面の笑みに、ホッとしていると一気に周囲が賑やかになり大物が当たり始めてハリスを飛ばされる人が出始めた。
 どうやら青物が回ってきたようだ。
 私も、ウキが消し込んだと同時にハリスが切れて、ここで納竿とした。
 カンパチの姿が見えていただけに、それだったかも…残念。


福岡から来られた中田さん、又来てくださいね。

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