水島1瀬の入れ食い

 夜明けを迎え、水島1瀬は「今日も入れ食いになるぞ」という雰囲気が満ちあふれている。
 潮はゆっくりとした下り潮が流れていて、今にもクロが大群でわき上がってきそうな気配が感じられる。
 
 スタートは、ゆっくりとした感じでポツポツと誰かがクロをヒットする程度で、入れ食いを予感していた物としては拍子抜けする感じがした。
 午前9時過ぎまでは北西の風も吹いていて、肌寒さを感じさせたがクロの乱舞は、その北西の風が止んでから始まった。
 ジャンケンで1番になった私は、舟着けのポイントに入り足下から撒き餌を入れる。すると竿1本先にある私のウキが、ゆっくりと海中へと引き込まれていった。
 クロ入れ食いの始まりのゴングである。
 船着け全体が大賑わいとなり、あっちでも、こっちでも次々と竿が曲がる。
 高場でも結構な型のクロが連れている様子で、エイヤッと振りあげる姿が勇ましい。
 宮崎から来ている徳沢君も、出足順調にクロを釣り上げている。
 私の隣では柚木崎さんが、お弟子さんにクロのアタリの取り方を指導していて、そのお弟子さんは、柚木崎さんの指導よろしく次々と良型のクロを釣り上げている。
 高場では、宮崎の矢野さんが良型のクロを連続して掛けて、豪快なブリ上げを見せている。
 クロが宙を飛んでいく姿も綺麗なものだ。
 他船のお客さん達も良型クロの入れ食いに楽しそうだ。

 しかし、昼前頃から徐々にではあるがクロの食いが渋くなってきた。
 道糸を張っていては、途中でくわえている張りをはき出してしまって、乗ってこなくなった。
 その一方で、徐々にクロのあたるタナは浅くなっているのだ。
 思い切ってハリスを半ピロにして、
キザクラのアタリウキ「浮」の0号をセットして足下付近から、沖に出ていく潮に仕掛けを乗せるようにした。
 それが功を奏したようで、一等毎にアタリが出始めた。
 隣の釣り人達にも、そのことを教えて道糸にゆとりを持たせるようにして、クロが走り初めてから合わせを入れるようにした。
 
 10枚を過ぎ、20枚も経過してイグロークーラーの蓋が閉まらなくなってきた。
 しかし、海中で撒き餌に群がっているクロの数は増えているように見える。
 河津さんも、午後二杯って順調に数をのばしているようだ。
 連続してクロを釣り上げクーラーに入らなくなったところで、高場の釣り人と場所を交代し高場へと移動する。
 其処から見えるクロの大群は、実に壮観な眺めである。
 一度に5人の釣り人が竿を曲げ、みんなが釣り場とクーラーとの間を小走りで往復している。
 3時が過ぎて益々クロの食いは活発になってきているように思うのだが納竿時間が迫っていても、なかなか釣り場から離れがたいと言うのがこんな時の釣り師の心境だ。
 本当は、もっと釣りを続けていたいが、後ろ髪を引かれる思いで納竿とした。

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絶好調の船着け

徳沢君が釣り上げた良型のクロ