クロ釣りと北西の風
11月3日は全国的に「文化の日」として祝日になっている。
国や地域の発展に寄与した人たちに勲章を授与して感謝の意を表す日でもある。
我々釣り人達にも、海の恵みが施されるに違いないと、心楽しみにして夫婦丸の船着き映えと急いだ。
前日に連絡が取れていなかったので、どれくらいの釣り人が集まるのかな、と小屋の中を覗いてみると宮崎の岡田君達常連客が10人以上顔をそろえている。
今日は一日楽しい釣りになりそうだ、と釣果の期待と共に益々楽しみが増えた。
一台の車が止まったと思ったら、石鯛マンの古田君もやってきた。
いつもの時間に出港し、水島に到着すると、長い間、時化が続いていたこともあって釣り場全体が海苔で覆われていて、足下が滑りやすくなっている。
「今日は、足下をしっかり確保してから釣りをしよう。」
全員で船着き場の海苔をマゼラーを使って削ぎ落とすことになった。
やがて海苔の削ぎ落としも一段落し、夜明けを迎えた。
チョットだけ気合い充分の私は、ほかのみんなよりの先に釣り場に入り本日の第一投。
「クロの勲章を俺にも授与してよ」
そんな気持ちを込めて、キザクラの全層環付きミドルの00号をセットした仕掛けを張りを持たせながらクロのポイントまで送り込む。
海中深く入っていくウキを見つめながら「一投目からクロが食ってきたら今日は余裕でがんばれるぞる」と思っていた。
そんな思いが通じたのか、バチバチといきなり道糸が走った。
高場では一足早くイサキを釣り上げていた岡田君や古田君達が「何のごつある?」と聞いてきた。
海面に浮いたのはまずまずの尾長クロ。押川君にタモ入れしてもらった無事我がクーラーに治まった。
この時に、変なことが頭の中に浮かんできた。
この1匹で、後はなーんも釣れんごつなることはねーわね…」
この数分後にどう型のクロがもう一枚上がり、横で三松君がイサキを釣り上げた頃から海の様子がおかしくなってきた。
刺し餌が冷たく感じられて、「おかしいな…」と言う言葉があっちこっちで聞かれ始めた。
ウキは払い出しの下り潮に乗っているが、海中流は逆に突っ込みの下り潮になっていて、それが水温低下につながっているような気がする。
おまけに北西の風が段々強くなってきた、日南では北西の風は凪の風なのに、丘からのウネリすら出始めている。
私も含めて、一人二人と釣り前線を離脱する人が出始めた。
「今日はこんだけ風が強かったら釣りならん…」
「水温が下がってしまって、撒き餌にクロが浮いてこん…」
挙げ句には昼寝を決め込む釣り人も出始めたのを見て、私も睡魔におそわれ高場の風をよけられそうな場所で一時の睡眠を取ることにした。
古○君、岡○君達も気持ちよさそうに昼寝を決め込んでいる。
しかし、昼寝を取りながらも岡田君はイサキを5枚ほど着実に釣り上げている。
隠居の高場はこの北西の風では釣りづらいだろうと思われるが、流石だなと感心する。
しかし、石鯛もクロも今日はやはり祝日のようで、全員午前8時以降は海底の我が家に入ったまま出てくることは無かった。
でも、2枚釣れただけでも今日は感謝しよう。
クイズです。この人は誰でしょう