長瀬で石鯛師の山村さんが釣り上げたクロ
鹿児島枕崎のクロ
山村さんが釣り上げた地グロ
顔が影になってよく見えない。
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 4月5日(土)ずーっと楽しみにしていた真グレ会の釣り大会が時化のため中止になり、急遽枕崎へと向かうことになった。

 串木野から枕崎までは車で2時間の距離にあるが、大会の中止になった落胆と寝不足でいささか気が重い。でも…みんなと行こう。
 私と一緒の山村さんも、前日の飲み会の名残で二日酔いが残ったまま「さー行くよ」と頑張って声を掛けてくれている。
 鹿児島の吉満さんの先導で枕崎に着いたのは午前5時頃、ぼんやりとだが東の空が明るくなり始めている。磯の上なら胸がときめく時間である。
 ホッとするのも束の間、強い北西の風が吹く中、全員急いで釣りの準備を整え、瀬渡し船「荒磯丸」に乗り込む。地元の常連さんも、沢山来ている。
 船が西に向かって進むため、飛沫をかぶらないように操舵室の陰に隠れていると枕崎のシンボルの立神の瀬が雄々しい姿を見せてきた。
 次々と釣り客を瀬に降ろし、我々は柴原さん達の次に鹿児島の吉満さん、山村さん、私の3人組で長瀬と言うポイントに降り立った。
 良く周囲を見ると、以前に私が良型のクロを釣ったことのある瀬が、目の前にある。
 「今日はもしかしたら、今日は釣れるかも…」と、1人勝手に思っている。
 この長瀬は、地方の水道と西側のワンドがクロのポイントとなっていると渡船のポーターの方に教わり、私と吉満さんが水道側に入り、山村さんがワンドに入って竿を振った。
 水道の潮上に撒き餌を打つと、小さいオヤビッチャが集団になって群がってくる。
 「釣れたよ」不意に後ろから声がした。
 振り向くと、山村さんが800グラム程度の地グロを手にしてニコニコしている。
 本来、底物師の彼にとってはクロ釣りは簡単に映っているだろうか?それとも、難しいと映っているだろうか。とにかく1枚釣れて良かった。
 私も頑張らなくてはいけない。しかし、目の前には撒き餌に群がる餌取りの群がいる。
 そんな中、待ちに待ったアタリが私に来た。ミチ糸がスーッと動き、かすかなアタリが手元に来た。500グラムくらいの小さな地グロ。
 嬉しいような、恥ずかしいような感じだ。
 吉満さんは、底近くに見えるクロに刺し餌が届かずヤキモキしているようだ。
 山村さんは、マイペースで2枚目、3枚目とクロを追加している。
 やはり、ワンドの中はクロの好ポイントになっているようだ。サラシの中にウキを浮かべ沈み込む潮に仕掛けを入れていく。要するに瀬際の全層釣法だ。
 山村さんに誘われるように、私もワンドに移動し何とか2枚目のクロを狙う。
 この頃から下げ潮が本格的に動き出し、やや沖に向けて仕掛けが出始めた。
 すると、私のキザクラの全層環付きミドルの00号がゆっくりと、海中深く沈み始め、そのスピードが段々速くなっていった。鋭くアワセを入れる。
 同時に、小気味よい竿引きのアタリが手元に来た。
 足下付近で、気持ちよい突っ込みを見せる獲物の姿を早くみたいものだが、ここは焦らずじっくりと楽しもう。
 時間の経過と共に、針係りした魚がクロと違う走りを見せている。「もしかして、三…かも…」
 海面に魚が浮いてきた。やはり、三の字だった。どうりでコンコンとノックするはずだ。
 優にキロを超えている。引きだけは、充分に堪能できた。 
 三の字にチョットがっかりしている私に続けてアタリが来たが、簡単に上がってきた獲物はイサキの赤ちゃん。余りの可愛さに「大きくなってまた会いにお出で」と海中の両親の元に帰す。
 その後は、私も、吉満さんも、山村さんもクロのアタリがパッタリと途絶え納竿とした。
 目の前の磯の釣り客は、良型のクロを何枚か釣り上げていただけに多いに期待したのだが今回の釣行は、行くとこ行くとこで、時化に見舞われ続けたが、私に同行してくれた山村さんがクロを4枚釣り上げたことで、少しはホッとしている。
 この次は、好天になり私にも女神が微笑むだろう。