全層釣法でアタリを待つ
全層釣法の場合、基本動作となるのは潮を受けるウキやJクッションなどを利用してミチ糸に針を持たせて、自分がイメージしたタナでクロのアタリを待つ。
この動作が基本となり、約1ヒロから3ヒロ単位ぐらいでミチ糸を送り込み、次々とクロが潜んでいそうなタナを探っていく。
全層釣法の起点となるのは、あくまでも全層対応の全層環付きや、IDR、GTR等のウキである。
海中に入り込む潮によって引き込まれていったウキを、自分のイメージするポイントで止めてアタリを待つという全層釣法は、基本的なことだが、いかにして針の刺しエサを仕掛けより先に流していくかと言うことが最大のポイントとなってくる。
クロに限らず、釣りの対象となる魚たちは、余程食い気のあるとき以外は海中に漂う物に警戒心を持っていると思っている。
その警戒心を少しでも和らげるため、また、アタリを明確に捕らえるためにもこの様にウキを中心として、仕掛けに張りを持たせることは大切なのである。
私はこの時の、いつアタリが来るか、いつミチ糸が音を立てて走り出すか、いまどの深さまで仕掛けが入り込んでいるかなど、想像しながら待っているのは好きだ。
また、仕掛けに張りを持たせてクロを釣ると言うことは、視点を変えれば「潮を釣る」と言うことにもなる。海中を流れる潮にウキを乗せ、その潮の抵抗を利用して仕掛けの張りを作る。
良い潮をいかに早く見つけるか、いかに自分の仕掛けをなじませるかが勝負になると言うことは、潮を釣るという判断に繋がると考えている。
もっとも、どんな釣りにおいても潮との勝負がその日の釣果を決定することは多い。
海中深くでアタリを捕らえたとき、クロの逃げ込む場所が直ぐ側にあるので釣り人としてはスリリングな、心地よい緊張感を堪能しながらやりとりを楽しむことになる。
捕るか、逃げられるか人とクロとの1対1の駆け引きなしの勝負である。
この様に、全層釣法とは、海という大きな世界の中に自分のイメージと想像力をフルに使った、自分なりの釣りの世界を作り上げられる楽しいクロ釣りである。
注意することとしたら、アタリを待っている間リールはオープンベールにして置くことが大物にいきなり糸を切られることが少ない。