キザクラカップ決勝大会
五島佐尾三ツ瀬の平瀬
一回戦、いきなり前年度の優勝者である長野選手とぶつかった。
絶対に負けたくない相手である。
もう一人の対戦者は熊本の若者、田中君である。我々3名の試合会場は佐尾の平瀬に決まった。ここは最近調子が上がっているらしく、田中君が1ラウンド目にいきなり5枚のクロを立て続けに釣り上げた。
私も、1枚のクロを釣り上げたが、その前に良型のクロらしいアタリにハリスをとばされてしまったのが口惜しくてならない。
長野さんも、先掛けで一旦はリードしたが、気持ちは穏やかではないだろう。
足下から出ているサラシの先では、クロが見え隠れしているのだが、なかなか思うようには食ってこない。気持ちのいらいらが募るが、強い北東の風にもいらだつ気持ちが増していく。
なんとか1ラウンドの内にもう一枚のクロを釣り上げたい。
しかし、時間は容赦なく過ぎ、2ラウンドへと移っていく。
田中君5枚、私は1枚、長野さんは0枚だ。
第2ラウンド開始早々に、私にクロのアタリが来た。
ここから私の追い上げが始まった。東に流れる潮に乗せてポイントまで仕掛けを送る。
今日は全層環付きミドル00号を駆使して、自分の力を最大限に発揮したい。
30pクラスのクロが上がってきた。
もう一枚と祈るような気持ちで同じポイントに仕掛けを振り込む。
直ぐにクロのアタリが来た。グイグイと海中に引っ張り込む引きに、北東の強風も気に
ならない。
2ラウンドになると長野さんも調子を上げてきたようで、確実にクロの数を稼いでいる。
反対に田中君は、下げのアタリ潮に苦労しているみたいでクロが当たっていない。
私は、3枚、4枚、5枚と30pクラスのクロを上げていく。
連続して8枚釣り上げた。なんとか逆転はしたと思っているが、後1ラウンド残っている。
絶対に気を抜くわけには行かない。
3ラウンドは長野さんが一番潮通しのいい場所に入った。
地元、五島の釣り師だけに五島の潮を見る目は確かな物がある。
ここで踏ん張らないと、一気に彼に持って行かれてしまう。
しかし、どうしたことかあれほど食っていたポイントが食わなくなってしまって、おまけに風に仕掛けが煽られて、自分のペースで釣りが出来ない様子だ。
いまのうちに私も頑張ろう、と必死に竿を振るが今度はベラとバリに悩まされる。
このチャンスに確実にクロを釣り上げているのが田中君だった。
4枚のクロを釣り上げているが、型がいま一のようにも見える。
しかし、結果はこの彼の粘りが最後の最後で、勝利を呼び込み、1回線を120グラムの僅差で勝ち上がっていった。
私は、その120グラム差に口惜しい思いをしたが、精一杯の試合はしたつもり。
長野さんに勝ったことだけは、素直に嬉しい。
来年こそは上位を目指そう。
精一杯頑張った私
熊本の若手釣り師の田中君
地元五島の実力派 長野さん