クロの食い渋り対策

 いま、九州のクロ釣りは今シーズンの佳境を迎えていると言ってもいい時期に来ている。
 九州の離島などの大場所はもちろんの事、各地から良型クロがクーラー満タンに釣れた情報が聞こえてくるが、一方で食い渋るクロに手を焼いている釣り人の、嘆く声も聞こえてくる。

 私の良く行く釣り場でも、数は沢山釣れるのだが、それ以上にアタリはあっても針掛かりしないクロの数の多さにストレスを抱え込んでしまう釣り人の姿を良く目にする。
 当然、私もその中の一人である。
 クロの食い渋る状況は、ウキが入っていくのに針に乗らない。また、アタリが出て海中に入っていくウキが途中で止まって、動かずアワセを入れると針に餌が付いたまま上がってくる。
 このような状況が、クロの食い渋りの現状だ。
 では、この状況下で私なりにどの様に対処しているのかを、少し述べていきたい。多分に多くの方が実践されているのと何ら変わらないかもしれないと思っている。
 私が、釣りの中で最も重要視しているのは、アタリが出てからの道糸の動きである。つまり、ウキが入っていっても、直ぐには合わせないで、竿先の道糸が張り始めてから、竿を立てる程度の小さなアワセを入れている。
 私が早く会わせないのは、口を使わず餌をくわえているだけの状態の時は、魚の習性を考えた場合、一端はき出した餌をもう一度吸い込むときは針掛かりする可能性が高くなると思うからだ。
 また、クロが食い渋ると感じる中で、釣り人側で修正の効く事と言ったら、タナの修正だろう。
 仕掛けを細くしたり、針を小さくしたりして益々クロがスレッカラシにならないようにするためにも、まずはタナを修正する事から考え、私の場合はこれまでのタナ取りを深くしていく事よりも、攻めるタナを浅くしていく様にしている。
 刺し餌は無くなるがアタリは出ないときなどは、クロの当たってくるタナよりも刺し餌が深い場所にある事が多いと思うからである。

 左の図は、今期のクロ釣りで食い渋るクロ対策に使用している仕掛け図だが、全てをシブシブにした上でハリスを1ヒロ以内として、海中2ヒロ程度の所から食い上がって来るクロに対応するようにと思って、2段浮き仕掛けを用いている。

 この仕掛けでも、竿先から環付きウキまでの間の道糸が沈み込みすぎていた場合、それがクロへの抵抗となって、途中で口に加えていた針をはずすという結果に繋がりかねない。
 実際に、クロを大釣りしたときでもウキの動きを見ていると、環付きウキより手前の道糸が沈み込みすぎていると、アタリが途中で止まってしまって針掛かりしない状況があった。
 年間で水温が最も低くなる3月頃には、従来であれば、現在の状況よりも厳しい食い渋りに陥ったりするのだが、今期はクロが随分上の方に浮き上がってくる分、まだ楽なのかもしれない。
 クロの食い渋りには、多分に水温の変化が影響していると思っているが、水温が低いときほどアタリがあったときに道糸を送り込んで、針を飲み込ませるくらいの対応を必要とすると思っている。
 本来であれば。全層釣法を実践するに当たっては、道糸の張りが大事になってくるのだが、この時期のクロには、逆に道糸を張りすぎない事が、私の食い渋り対策になっている。
 
 刺し餌をどの様にするかという観点から食い渋りを考えた場合は、「オキアミのむき身」が一般的に考えられる手法だが、この時に液体の集魚材を用いて、むき身を浸しておいてもある程度の対応は出来る。
 同じむき身でも、オキアミではなく、小さい磯エビ等のむき身を液体の集魚材に浸しておいて、釣りをするときに適当な大きさに切って使用しても、これまである程度の釣果を上げている。

全層環付きミドル00

小型アタリウキ 浮0

 タナを修正しても、餌を工夫してもどうしてもウキに出るアタリが取りきれない場合は、最終的にはハリスを細くしたり、針をスレ針に変えてみたり、号数の小さい物に変えてみたりする事になっていくと思うが、結果的にクロをスレッカラシにしてしまうことになると心配している。
 私は、そうしないためにも前アタリが出たら道糸が動くまで待つという「待ちの釣り」を実践しているわけだが、早アワセによるバラシに繋がるよりは良いのではないかと思っている。
 食い渋るクロは、仕掛けの中の何かに抵抗を感じたり、水温の低下による動きの鈍さが原因だったり、タナが合ってなくて修正に手間取ったりと原因は色々あるわけだが、この中でも特に私が気にしているのは「仕掛けの中の何かに抵抗を感じている」のではないかと言う事だ。
 実際に、友にウキ止めをはずさせただけで、これまで途中で止まっていたウキの動きが最後まで入っていくようになったし、釣果にも繋がったと言う事実がある。
 水温が低下して、クロが見えないし、動かないのなら話はより難しくなるのだが、海中にクロが見えている場合は、人為的な原因が影響していると私は考えている。
 全層釣法であっても、時期によっては張りすぎ無いように気を付け、また、仕掛けを工夫していく事が好釣果に繋がると思っている。

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