全層で浅タナを釣る
全層釣法は、基本的にウキ自体を潜行させてクロを釣るという釣法なので、深いタナを狙う釣りのように感じるが、海底が見えるような浅い場所でもその実力は充分に発揮できる。
現在、全層釣法と言えば深いポイントを攻めていく釣りというイメージが強いが、全層釣法の基本とするところは仕掛けの張り≠ネのである。
ここを考えていけば、水深の浅い場所でも充分に対応できて、楽しい釣りが出来る。
私が良く行く都井岬の磯を例に挙げて説明したい。
この都井岬は、宮崎の磯釣りを代表するポイントの一つである。しかし、全体的に水深は浅く、深いところでも、せいぜい8〜9mが良いところだろうか。しかし、クロの魚影は濃い場所であり、多くの釣り人が訪れる。
こういった浅い場所での基本は、ガン玉の使用はなるべく控えることが大事だ。
よほど潮が速く流れていて、仕掛けが浮き上がる心配がある時などはガン玉を使用する。
しかし、基本的な仕掛けから言えば、撒き餌の作り方が比重の軽い集魚材やパン粉を主としている場合が多いので、仕掛けにはガン玉は打たず自然な形で仕掛けが馴染むように演出してやることが大事だろう。
下手にガン玉を使用してウキを潜行させようとして、針が浮いた状態になってしまったのでは魚の食いは上がってこないと思うし、アタリがあっても体感ショックと言った具合には出てこないと思う。
それよりも、ハリスや刺し餌などの重みと、沈み込みの潮に乗せるなどして潜行させていった方がアタリは良く出る。
沈み込みの潮とは、潮目付近でよく起こる現象でぶつかった潮がアタリの弱い方が強い方の潮の下に潜り込む場所のことで、そう言った場所を見つけるようにすると良いだろう。
また、00号のウキを使用する場合はある程度仕掛けが出ていくと、道糸の重さの加わって自然とウキが潜行していく。
ウキの潜行度を良くするグッズとしてはガンタッチやJクッション、クッション水中などがあるが、浅い場所で全層釣法を実践する場合、私はクッション水中のMサイズを好んで使用する。
深い場所ではJクッションを多用するが、潮目がはっきりしている場合などは水深があってもクッション水中を使用している。
このクッション水中も潮受けが良くて、仕掛けの投入直後に竿を2,3度振って道糸を出してやると、海中の流れをとらえて仕掛けを海中深くに運んでいってくれる。
しかし、浅い場所で前総長法を実践する場合、最も大事なのは海底の様子をイメージすると言うことだと思っている。
船長に水深を確認し後、高くて見晴らしのきく場所があれば足を運んで、海底の様子を確認しておくと良いだろう。
沈み瀬や割れなどが確認できれば、底がポイントになる確率は高くなるし、攻めていくのにも距離的な感覚が養えると思う。
普段から通い慣れている場所であれば、このように動きは省いても良いと思うが、仕掛けを流すに当たっては、どれくらい仕掛けが潜行しているのか、流れから仕掛けが海中でどうなっているのかなど、常にイメージしていくことが釣果に繋がると思っている。
もう一つ、大事なことは仕掛けの引き戻し、流し放して゜刺し餌を海中に送り込んでいってもクロは当たってくるが、クロリアたる確率をもっと上げるために私が実践しているのが、仕掛けの引き戻しである。
振り込んだ仕掛けが潜行し始めて、一定のタナで止めてアタリを待つ、これだけでも引き戻しと同じ効果は得られるが、例えば10m流していって1m仕掛けを引き戻すことで仕掛けが踊り、誘いになる。
上物師なら大抵このような所作は実践されていると思っているが、潜行するウキが海底の岩に引っかからないようにするためにも大事な動作だと考えている。
道糸の選定も、大切に事の一つと考えている。
道糸も大きく分けて、フロート系とサスペンド系があるが、フロート系の道糸を使用して全層釣法を実践する場合には、道糸の沈み込みが少なくて済むので、道糸の修正切り返しが楽になる。
仕掛け全体のバランスを考えていけば、水深の浅い場所でも全層釣法で大物をゲットできるし、もっと楽しい釣りが広がっていくと思っている。