全層釣法 part2 体感ショック
体感ショックは楽しい
全層釣法の一番楽しいところは、海中からのクロのアタリが直接、体を直撃する体感ショックにある。
全層環付きナギの00号が潮に引き込まれるようにゆっくりと海中のクロの潜むタナ目掛けて入っていく。
タナに入ったとたんに、バチバチとまるで生き物の様にミチ糸がスプールから弾けでていく。
視界から消えかけていたウキが、一気に見えなくなりクロの疾走の衝撃が釣り人の体を貫いていく。
仕掛けをクロのポイントに振り込んだ後、ミチ糸を竿を持つ手の人差し指に掛けウキを見る代わりに竿先を見つめ、指先に全神経を集中する。
何とも言え無い緊張感が体中に漲っている。
この瞬間が、クロ釣りの一つの楽しみでもある。
クロがヒット、闘い開始
クロがヒットして、クロと釣り人との間でスリリングで楽しい闘いが開始される。
クロはエサに食い付いた後、反転し一目散に岩の隙間へと逃げ込もうと疾走する。
この時のクロの疾走が、ミチ糸をとおして釣り人の体に直接体感ショックとなって伝わった来る。クロ釣りをする釣り人ならば何者にも替えられない至宝の時である。
そのクロの走りを全身で受け止め、一本の細いミチ糸を通じてのクロvs釣り人の激しい闘いが始まる。
瀬際を真下に突っ込もうとするクロ、それを受けて釣り技術の全てを出し切ってクロの思うとおりにさせるものかと踏ん張る釣り人。釣っている方も、見ている方もワクワクドキドキしてくる。
全層釣法はクロがヒットした瞬間には、クロの逃げ場が目の前にあるという、在る意味クロ有利とも言える釣りだ。
それだけに最初から、大物という判断をもって時に大胆に、時に繊細にと、やり取りの時間を楽しめる。
海中深くでクロがヒットしたときに、大アワセを入れて直ぐにクロを浮かせたいと思うが、私の場合は竿を立てるだけと言っても良いくらいのアワセから始まる。
決して、ウキが飛んでくるような激しいアワセは禁物である。
またクロは、瀬際に来てからの突っ込みをいかに交わすかが大事であり、クロがこちらを向いたときの竿のあおりは竿じりがクロを向くくらいまで絞り上げる。
竿の弾力を最大限にまで活かし切ったときのクロの取り込みは、釣り人の有利な体勢のままで取り込める。
全層釣法のアワセはあくまでソフトに、しかし、やり取りは大胆にが基本となる。